HIROKIM BLOG / 望月優大の日記

見えているものを見えるようにする。

政治

「投票率がとても低い」ということについて

こちらの記事を読んで。 マクロン新党の勝利の意味 | 鈴木一人 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 6月に行われたフランス国民議会選挙の最大の特徴は投票率の低さであった。投票率は42.6%で、1958年に始まったフランス第五共和政で最低…

書評『分解するイギリス』(近藤康史)

イギリス政治の専門家によるイギリス政治入門の書。本質的な内容がわかりやすくまとめられており、大変勉強になった。イギリス政治の理解に役立つだけでなく、長らくイギリスを目標に政治改革を行ってきた日本政治を考えるうえでも必読の一冊だ。なぜなら、…

自己責任を求める成功者たちにつけるクスリ

本田圭佑氏のツイートが話題になっていた。若い世代の自殺に関するニュースを取り上げて「他人のせいにするな!政治のせいにするな!!」と吼えている。ああ、このツイートは見たくなかった。好きなサッカー選手であるだけに個人的には残念な気持ちになった…

日本のシングルマザーたちを苦しめる恥やスティグマの感覚

米ワシントンポスト紙が日本のシングルマザーたちの苦境を取り上げる記事を出していた。単に貧困率など数値的な側面を取り上げるだけでなく、「恥」や「スティグマ」といった心理的な側面に焦点を当てているパートが印象的だったので、そこだけさっと翻訳し…

鈴木謙介氏の整理に沿ってーー経産省「次官・若手ペーパー」論(3)

社会学者の鈴木謙介氏が件のペーパーをもとに始まった議論に対してある種の総括(?)的なブログ記事を書かれていた。鈴木氏のことは昔から尊敬しており、過去に氏の著作のいくつかを読んできたのはもちろんのこと、講演を聞きにいったこともある。記事中で私の…

経産省「次官・若手ペーパー」に対するある一つの「擬似的な批判」をめぐって

先日こちらのエントリを書いたところかなり大きな反響があった。 その後、件の「次官・若手ペーパー」に対する応答が他所からもいくつかなされていたが、そのなかに渡瀬裕哉氏という方によるかなり強めの批判記事があった。この方のことは存じ上げなかったが…

経産省「次官・若手ペーパー」に対する元同僚からの応答

経済産業省の「次官・若手プロジェクト」によるペーパーが話題になっていた。私自身、新卒時に同省で働いていたのだが、このペーパーの作成に私の(個人的に親しい)同期なども関わっているようだ。 不安な個人、立ちすくむ国家 〜モデル無き時代をどう前向…

上野千鶴子氏の発言を読んで思ったこと。

上野千鶴子氏の中日新聞紙上での発言が話題になっていました。炎上と言ってよいかと思います。上野氏の発言はこちらで全文読むことができます。Togetterもできていました。 この国のかたち 3人の論者に聞く|考える広場|朝夕刊|中日新聞プラス 上野千鶴子…

ワシントン州司法長官が信教の自由を保障する憲法修正第一条を巡ってトランプ大統領らを提訴へ「法廷では最大の声よりも憲法が勝る」

大きなニュースが飛び込んできた。 全米初、大統領を提訴へ=入国禁止令は「違憲」-ワシントン州:時事ドットコム 米西部ワシントン州のファーガソン司法長官は30日、トランプ大統領や国土安全保障省などを相手取り、難民やイスラム圏7カ国の出身者らの…

全訳:ドナルド・トランプ「厳格な審査に関する最近の大統領令についての声明」

トランプ大統領がつい先ほど1/29 18:16(日本時間1/30 8:16)にFacebookで出した声明を全訳した。Donald J. Trump - Statement Regarding Recent Executive... | Facebook この記事の内容は以下の通り。 全訳:「厳格な審査に関する最近の大統領令についての…

難民受け入れ等に関するトランプ米大統領令「米国への外国人テロリストの入国から国民を保護する」について

1/27日金曜日に署名された米大統領令について情報を整理しておきたい。トランプ大統領の就任以降、毎日のように大統領令が出されているが、その一つについてである。 シリア難民の受け入れ停止やシリアを始めとする7カ国の人々に対するビザの発給停止など様…

トルコというダムは決壊するのか

いまトルコについて考えることは本質的なことである。 トルコについて考える経験を通じて、自由民主主義を奉じる先進諸国に生きる人々は、自分たちの暮らしがどんな基盤に拠って立っているのかを理解する。それはひどく脆弱な基盤であり、少しの変化で動揺し…

日本の不平等をどうするか

この国の未来にとって最も重要なことの一つだろうと思うことについて書く。 端的に言って、それは、同じ国に住んでいながらいろいろな要因が重なってひどい状況で暮らしている人の人数をできるだけ減らし、彼らが尊厳ある生活を取り戻すために何ができるだろ…

「どんな人でも役に立てる」と「役に立たなくても生きていける」の違い

イギリスで主に障がい者向けの福祉予算が削られているというこの記事を読んで。 英国福祉改革センターのサイモン・ダフィー博士によると、世界金融危機後の2010年に保守党が政権を握って以降の6年間、障害者は健常者と比べて9倍、重度の障害を抱える人々に…

イランは危険で、飯がまずくて、カルチャーも歴史もないただのでかい砂漠だ。だからDON'T GO TO IRAN。

DON'T GO TO IRAN。直訳すると「イランに行くな」ってタイトルの動画なのですが、Twitterで流れてきて観た瞬間、「うおおイラン行きたい!」ってなりました。学生のころ北西部に数日行ったきりなのでまた行きたい。 イランってこんなところにあって、アフガ…

パナマ文書問題を見る視点② 底辺への競争

一昨日パナマ文書問題を考える前提として、タックスヘイブン問題の構造を簡単にまとめた。そこでは、資本のグローバルな還流に対する国家権力の徴税能力の限界ということを書いたのだが、国家が自らの徴税能力を強化する(例えば移転価格税制を取り入れる)…

パナマ文書問題を見る視点

パナマ文書問題は、話の前提としてタックスヘイブン問題の構造がわからないと理解できないと思うので簡単にまとめる。基本的な知識は志賀櫻『タックス・ヘイブン』を読むことによって得られる。 タックスヘイブン問題は、国家権力の徴税能力の限界という問題…

『サウルの息子』とは誰か。死の大量処理という単純労働のあとで。

先週末、新宿のシネマカリテで『サウルの息子』という傑作を観た。 描かれるのは、1944年10月のアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所とそこに収容されるユダヤ人たち。特にサウル・アウスランダーというハンガリー出身のユダヤ人、彼の顔が至近距離のカメ…

家族主義的福祉からの脱出。17年前にエスピン=アンデルセンが日本について語ったこと。

イエスタ・エスピン=アンデルセンという福祉国家論(正確には福祉レジーム論)の大家がいる。デンマーク人の学者で、20世紀の福祉レジームを「社会民主主義的」(北欧諸国等)、「保守主義的」(ヨーロッパ大陸諸国等)、「自由主義的」(アングロ・サク…

アラブの春以後の世界。マフマルバフ『独裁者と小さな孫』が映すもの。

先日の連休中に下高井戸に行った。下高井戸シネマに行くためだ。下高井戸シネマは公開から少し時間が経った単館系の映画を多く扱っていて、新宿や渋谷の映画館でやっているのを見逃してしまったときにお世話になっている。 今回のお目当てはイラン出身の映画…

自分の頭で安全保障を考える。井上達夫『憲法の涙』を読んで。

憲法が注目を集めている。直接的には、現政権による憲法九条の解釈改憲とそれに対する国会前デモを含む広範な批判、そして来る参院選の結果如何では自民党が視野に入れる憲法改正の現実味がいや増すという状況がある。 さて、いわゆる安保法制への批判の文脈…

根本的で、予期できなかった出来事の証人。5回目の3.11に寄せて。

2016年3月1日仕事から家に帰ってテレビをつけると、5年前に現地で津波を経験し、いまだその苦しみと付き合い続けている青年についての特集が流れていた。雁部那由多さん、いま高校1年生で当時は小学校5年生。そのとき自分が遭遇してしまった経験を自分以…

デモから政党へ、当事者から代弁者へ。「保育園落ちたの私だ」に寄せて。

昨日国会前でデモがあった。はてな匿名ダイアリーの「保育園落ちた日本死ね!!!」という匿名の投稿に対して、国会で首相を中心に「それ誰が書いたの」といった趣旨の発言があった。それに対して多くの「当事者」たちが「それは私だ!」と国会前に集まった…

名前を公募する前にコンセプトを固めてほしい(切実)

がんばってほしいと思っているからこそあえてまじめに書きますよ。。。 野合して数を増やしたくなる気持ちもわかります。夏の参院選が迫っていて、いまのままでは確実に勝てない。でも、野合だってことがあからさまだからこそ、政策のコンセプトをどこまです…

メディアと公共性についてのメモ

明日R-SICというカンファレンスで「メディアと公共性」についてのセッションに参加させていただきます。正確には「誰が次の時代のジャーナリズムと公共性を担うのか?〜社会を考えるメディアとビジネスモデル〜」というセッションです。不慣れなパネルディス…

雑感:2015年フランス州議会選挙

フランスの州議会選挙第2ラウンド=決選投票で移民排斥を唱える極右政党・国民戦線 Front National/FN が惨敗。第1ラウンドでは国民戦線が6つの州でトップだったが、投票率の全般的な上昇や社会党による二つの地域での候補者取り下げ=右派連合との選挙協…

一億総活躍的な言葉遣いについて

一億総活躍担当相という役職が設けられたらしい。どんな役職なのか、詳しく知らない。ただ、またか、という気持ちである。 英訳を見ると、一億というのは全国民の比喩であるようだ。Minister in Charge of Promoting Dynamic Engagement of All Citizensだそ…

宇野重規『民主主義のつくり方』を読んだ

民主主義のつくり方 (筑摩選書) 作者: 宇野重規 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2013/10/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (19件) を見る プラグマティズムから民主主義を考える トクヴィル研究者の宇野先生による、プラグマティズムを強く参照…

大竹弘二+國分功一郎『統治新論』を読んだ

民主主義の意味を再考させる良書 統治新論 民主主義のマネジメント (atプラス叢書) 作者: 大竹弘二,國分功一郎 出版社/メーカー: 太田出版 発売日: 2015/01/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る シュミット研究者の大竹先生と、スピノザ…

池内恵『イスラーム国の衝撃』を読んだ

Facebookで日々迫力ある投稿をされている池内恵先生の新著。イスラーム国だけでなく、アル=カーイダに連なるグローバル・ジハードの系譜も含めてわかりやすく整理されており、今読むべき本だと思います。おすすめします。 イスラーム国の衝撃 (文春新書) 作…