望月優大のブログ

見えているものを見えるようにする。

日本

私は植松のように考えない。他人を不幸にしたからと言って殺されて良い人間などいない。

今日、7月26日で相模原障害者施設殺傷事件から丸1年になる。 障害者「幸せ奪う存在」=トランプ氏演説契機に-手紙で植松被告・相模原施設襲撃:時事ドットコム 【独自】45人殺傷、植松被告からの手紙|日テレNEWS24 最近になって植松聖被告からマスコミ…

「投票率がとても低い」ということについて

こちらの記事を読んで。 マクロン新党の勝利の意味 | 鈴木一人 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 6月に行われたフランス国民議会選挙の最大の特徴は投票率の低さであった。投票率は42.6%で、1958年に始まったフランス第五共和政で最低…

『人生の全てがゼロになる「クリティカルポイント」で、私は難民支援協会に出会った。』

昨日6月20日は「世界難民の日」でした。普段から応援している難民支援協会(JAR = Japan Association for Refugees ※読み方は「ジャー」)というNPOのスペシャルイベントがあり、会場提供のサポートを行いました。 Refugee Talk-難民を学ぶ夕べ*世界難民の…

バーナンキが日本に推奨する「財政政策と金融政策の連携」の意味

アメリカの前FRB議長ベン・バーナンキが5月24日に日本の金融政策について語った内容が翻訳されて話題になっていた。 ベン・バーナンキ「日本の金融政策に関する考察」 – 道草 とても興味深い内容なのだが、日本語訳で1.5万字以上あるということと、専門性が…

自己責任を求める成功者たちにつけるクスリ

本田圭佑氏のツイートが話題になっていた。若い世代の自殺に関するニュースを取り上げて「他人のせいにするな!政治のせいにするな!!」と吼えている。ああ、このツイートは見たくなかった。好きなサッカー選手であるだけに個人的には残念な気持ちになった…

日本のシングルマザーたちを苦しめる恥やスティグマの感覚

米ワシントンポスト紙が日本のシングルマザーたちの苦境を取り上げる記事を出していた。単に貧困率など数値的な側面を取り上げるだけでなく、「恥」や「スティグマ」といった心理的な側面に焦点を当てているパートが印象的だったので、そこだけさっと翻訳し…

鈴木謙介氏の整理に沿ってーー経産省「次官・若手ペーパー」論(3)

社会学者の鈴木謙介氏が件のペーパーをもとに始まった議論に対してある種の総括(?)的なブログ記事を書かれていた。鈴木氏のことは昔から尊敬しており、過去に氏の著作のいくつかを読んできたのはもちろんのこと、講演を聞きにいったこともある。記事中で私の…

経産省「次官・若手ペーパー」に対するある一つの「擬似的な批判」をめぐって

先日こちらのエントリを書いたところかなり大きな反響があった。 その後、件の「次官・若手ペーパー」に対する応答が他所からもいくつかなされていたが、そのなかに渡瀬裕哉氏という方によるかなり強めの批判記事があった。この方のことは存じ上げなかったが…

経産省「次官・若手ペーパー」に対する元同僚からの応答

経済産業省の「次官・若手プロジェクト」によるペーパーが話題になっていた。私自身、新卒時に同省で働いていたのだが、このペーパーの作成に私の(個人的に親しい)同期なども関わっているようだ。 不安な個人、立ちすくむ国家 〜モデル無き時代をどう前向…

上野千鶴子氏の発言を読んで思ったこと。

上野千鶴子氏の中日新聞紙上での発言が話題になっていました。炎上と言ってよいかと思います。上野氏の発言はこちらで全文読むことができます。Togetterもできていました。 この国のかたち 3人の論者に聞く|考える広場|朝夕刊|中日新聞プラス 上野千鶴子…

日本の貧困は「降格する貧困」に近づいている。セルジュ・ポーガム『貧困の基本形態』講演から。

「はしごの下にいるんだよ。それ以外におれたちが誰なのかをはっきりさせる言葉があるのか。おれたちははしごの下にいて、食うや食わず、それだけさ。おれたちのための言葉なんてない。はしごの下には工員がいて……やがて上に上がっていく。でも、おれたちは…

日本の不平等をどうするか

この国の未来にとって最も重要なことの一つだろうと思うことについて書く。 端的に言って、それは、同じ国に住んでいながらいろいろな要因が重なってひどい状況で暮らしている人の人数をできるだけ減らし、彼らが尊厳ある生活を取り戻すために何ができるだろ…

自分の頭で安全保障を考える。井上達夫『憲法の涙』を読んで。

憲法が注目を集めている。直接的には、現政権による憲法九条の解釈改憲とそれに対する国会前デモを含む広範な批判、そして来る参院選の結果如何では自民党が視野に入れる憲法改正の現実味がいや増すという状況がある。 さて、いわゆる安保法制への批判の文脈…

根本的で、予期できなかった出来事の証人。5回目の3.11に寄せて。

2016年3月1日仕事から家に帰ってテレビをつけると、5年前に現地で津波を経験し、いまだその苦しみと付き合い続けている青年についての特集が流れていた。雁部那由多さん、いま高校1年生で当時は小学校5年生。そのとき自分が遭遇してしまった経験を自分以…

デモから政党へ、当事者から代弁者へ。「保育園落ちたの私だ」に寄せて。

昨日国会前でデモがあった。はてな匿名ダイアリーの「保育園落ちた日本死ね!!!」という匿名の投稿に対して、国会で首相を中心に「それ誰が書いたの」といった趣旨の発言があった。それに対して多くの「当事者」たちが「それは私だ!」と国会前に集まった…

名前を公募する前にコンセプトを固めてほしい(切実)

がんばってほしいと思っているからこそあえてまじめに書きますよ。。。 野合して数を増やしたくなる気持ちもわかります。夏の参院選が迫っていて、いまのままでは確実に勝てない。でも、野合だってことがあからさまだからこそ、政策のコンセプトをどこまです…

認知症を描いた「RUN TOMORROW」の映像が凄かった。じんわりと感覚を揺さぶるクリエイティブの力。

個人的な関心とか仕事柄もあって、NPOの方を始めとして社会問題の現場に従事されてる方とお会いしたり、あるいはマクロな統計データを眺めたりということがよくあります。 ただ、そういった問題について人々の関心を高めることの難しさというか、一時的に泣…

メディアと公共性についてのメモ

明日R-SICというカンファレンスで「メディアと公共性」についてのセッションに参加させていただきます。正確には「誰が次の時代のジャーナリズムと公共性を担うのか?〜社会を考えるメディアとビジネスモデル〜」というセッションです。不慣れなパネルディス…

大竹弘二+國分功一郎『統治新論』を読んだ

民主主義の意味を再考させる良書 統治新論 民主主義のマネジメント (atプラス叢書) 作者: 大竹弘二,國分功一郎 出版社/メーカー: 太田出版 発売日: 2015/01/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る シュミット研究者の大竹先生と、スピノザ…