望月優大のブログ

見えているものを見えるようにする。

社会

私は植松のように考えない。他人を不幸にしたからと言って殺されて良い人間などいない。

今日、7月26日で相模原障害者施設殺傷事件から丸1年になる。 障害者「幸せ奪う存在」=トランプ氏演説契機に-手紙で植松被告・相模原施設襲撃:時事ドットコム 【独自】45人殺傷、植松被告からの手紙|日テレNEWS24 最近になって植松聖被告からマスコミ…

日本のシングルマザーたちを苦しめる恥やスティグマの感覚

米ワシントンポスト紙が日本のシングルマザーたちの苦境を取り上げる記事を出していた。単に貧困率など数値的な側面を取り上げるだけでなく、「恥」や「スティグマ」といった心理的な側面に焦点を当てているパートが印象的だったので、そこだけさっと翻訳し…

鈴木謙介氏の整理に沿ってーー経産省「次官・若手ペーパー」論(3)

社会学者の鈴木謙介氏が件のペーパーをもとに始まった議論に対してある種の総括(?)的なブログ記事を書かれていた。鈴木氏のことは昔から尊敬しており、過去に氏の著作のいくつかを読んできたのはもちろんのこと、講演を聞きにいったこともある。記事中で私の…

経産省「次官・若手ペーパー」に対するある一つの「擬似的な批判」をめぐって

先日こちらのエントリを書いたところかなり大きな反響があった。 その後、件の「次官・若手ペーパー」に対する応答が他所からもいくつかなされていたが、そのなかに渡瀬裕哉氏という方によるかなり強めの批判記事があった。この方のことは存じ上げなかったが…

経産省「次官・若手ペーパー」に対する元同僚からの応答

経済産業省の「次官・若手プロジェクト」によるペーパーが話題になっていた。私自身、新卒時に同省で働いていたのだが、このペーパーの作成に私の(個人的に親しい)同期なども関わっているようだ。 不安な個人、立ちすくむ国家 〜モデル無き時代をどう前向…

ケン・ローチ『わたしは、ダニエル・ブレイク』をすべての人に観てほしい。

ケン・ローチ監督の『わたしは、ダニエル・ブレイク』(I, Daniel Blake)を二度観た。一度目は公開直後に。二度目はつい先ほど。感じたことを書いていく。 「人生は変えられる。隣の誰かを助けるだけで。」「涙と感動の最高傑作」 こうした言葉には違和感を…

上野千鶴子氏の発言を読んで思ったこと。

上野千鶴子氏の中日新聞紙上での発言が話題になっていました。炎上と言ってよいかと思います。上野氏の発言はこちらで全文読むことができます。Togetterもできていました。 この国のかたち 3人の論者に聞く|考える広場|朝夕刊|中日新聞プラス 上野千鶴子…

日本の貧困は「降格する貧困」に近づいている。セルジュ・ポーガム『貧困の基本形態』講演から。

「はしごの下にいるんだよ。それ以外におれたちが誰なのかをはっきりさせる言葉があるのか。おれたちははしごの下にいて、食うや食わず、それだけさ。おれたちのための言葉なんてない。はしごの下には工員がいて……やがて上に上がっていく。でも、おれたちは…

日本の不平等をどうするか

この国の未来にとって最も重要なことの一つだろうと思うことについて書く。 端的に言って、それは、同じ国に住んでいながらいろいろな要因が重なってひどい状況で暮らしている人の人数をできるだけ減らし、彼らが尊厳ある生活を取り戻すために何ができるだろ…

「どんな人でも役に立てる」と「役に立たなくても生きていける」の違い

イギリスで主に障がい者向けの福祉予算が削られているというこの記事を読んで。 英国福祉改革センターのサイモン・ダフィー博士によると、世界金融危機後の2010年に保守党が政権を握って以降の6年間、障害者は健常者と比べて9倍、重度の障害を抱える人々に…

「意識高い」を再定義したうえで称揚したい

ここ数年で人をバカにしたり茶化したりするための言葉になってしまった「意識高い」。あいつも「意識高い」し、こいつも「意識高い」。どいつもこいつも「意識高い」。とはいえ「意識高い」人が世の中に少ないほうがいいのか?と問われるとなんとなく首をか…

認知症を描いた「RUN TOMORROW」の映像が凄かった。じんわりと感覚を揺さぶるクリエイティブの力。

個人的な関心とか仕事柄もあって、NPOの方を始めとして社会問題の現場に従事されてる方とお会いしたり、あるいはマクロな統計データを眺めたりということがよくあります。 ただ、そういった問題について人々の関心を高めることの難しさというか、一時的に泣…

日本語ラップは社会を歌う。いま聴いてほしい5つのパンチライン。

フリースタイルダンジョンのおかげで、大好きな日本語ラップがにわかに盛り上がっているようです。素晴らしい!「ラッパーってこんなことできるのか」ってびっくりしている人がたくさんいると思うので、自分が好きなリリシストすぎる日本語ラップを5曲紹介…

ゆるい喫茶店の話

ゆるい喫茶店が好きです。確実に昭和からあるんだろうなって思わせるメニューや内装のお店が、街の片隅にひっそり残ってることありますよね。「喫茶○○」とか「○○珈琲」みたいな名前だったりして。あの雰囲気が好きです。 こういうお店って食べログの点数が低…

書評『数学する身体』(森田真生 著)

森田さんが本を書いた。1985年生まれ、30歳の年である。 数学する身体 作者: 森田真生 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/10/19 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 森田さんは独立研究者。研究者と聞いて思い浮かべる範囲を大きくはみ出た活…