望月優大のブログ

見えているものを見えるようにする。

本気で一つの始まりに賭けてみた話。スタディクーポンのこと。自分のこと。相談を受けてから、これまで。

こんにちは。望月です。今日、仲間とともに一つの新しいことを始めました。そのことについて、少し長めの文章を書きます。
 

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新しいことの名前。
 
親の所得が低くて、塾に通うことができない。高校受験の準備に全力で取り組みたくても、経済的な理由でそれが叶わない。
 
そんな中学3年生たちが日本中にいます。
 
彼らに対して、みんなの力で寄付を集めて、学習塾や家庭教師、通信教育などに使えるクーポンを届けよう。
 

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仲間たちとのそんな取り組みにつけた名前です。
 
 
例えば、手取り20万円前後で毎月3万円、4万円の塾代を支払っていく、その厳しさを想像してみてください。
 
高校受験の前ともなれば、模試、夏期講習、通常の塾費用に加えて追加で必要となる費用がさらに積み重なってきます。
 
貧困の手触りは、具体的な手取り収入、そこから家賃、食費、教育費、生きていくために必要な費用を一つずつ引いていくことで、「わかる」ことができます。
 
その引き算を通過することで、おなかの底の部分で、少しだけ、生活が貧しいということ、その意味を理解することができるのだと思います。
 

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自分の家はひとり親家庭でした。
 
相対的に言えば、貧しかったと思います。
 
でも、母親が踏ん張って教育の機会を与えてくれました。自分が望む全ての教育を受けさせてくれた。今思えばどうやってやりくりしたのか想像もつかないし、だからこそ本当に感謝の思いしかありません。
 
彼女にもらった機会のおかげで、今の自分がある。それは100%そうだと言える。
 
いま自分が、困っている人、弱っている誰かを支える人になりたい、そう思えていること、その可能性の根っこの部分に、母親のこの踏ん張りがあったことを本当に確信しています。
 
ただ、30も過ぎたこの歳になって思うこともあります。
 
この困難は、母親がたった一人で、自分の食費を削ってまで、背負わなければいけないものだったのか。
 
収入も少ないひとり親の母親にそこまでの負担を強いる、そんな社会で良かったのか。
 
そして、そうである社会を、そのまま、次の世代へと残していく。32歳にならんとする自分は、本当にそれで良いのか。
 
そんなことを思ったりしました。
 
 
今年の7月のことです。チャンス・フォー・チルドレンの今井 悠介さん、キズキの安田 祐輔さんが、スマートニュースまで会いにきてくれました。
 
今井さんが地道に続けてきたクーポンの事業があります。長い時間をかけて研ぎ澄ましてきたこの仕組みというものがある。
 

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彼らが思っていたこと、それはこの仕組みを必要とする子どもたちは日本中にもっともっといるはずだ、ということです。そのことを彼らは確信していました。
 
安田さんも知っていました。
 
経済的困窮とひきこもりや不登校の両方に苦しめられている子どもたちが数多くいること。そして、経済的困窮は、彼らを社会と再接続することをとても難しくすること。
 
そのことを彼らは知っていたのです。
 
クーポンを必要とする子どもたち、親たちは、日本中にいる。
 
でも、まだまだこの仕組みの必要性、そしてその効果を人々のあいだで十分に広めることは叶っていない。
 
子どもたちのためにもっともっと知ってもらわなければいけない。けれど、まだ、できていない。子どもたちのために、そのことを今やらなければならない。
 
「だから、望月さん、力を貸してほしい。」
 
今井さんも安田さんも、本気でそう言っていると思いました。そして、何よりも、彼らが広めようとしている仕組みはシンプルにとても素晴らしいものだと思いました。
 
だから、コミットしました。本気で関わったということです。
 
SmartNews ATLAS Programとしてこれまでで最大限の踏み込みをしました。
 
「子どもが平等に夢見れる社会を残そう」というプログラムのコンセプトは、いまこの取り組みに寄り添うことで体現できるのだと思いました。
 
メンバーの松岡宗嗣とともに、プロジェクト全体のデザイン、コピーライティング、様々な接点でのグラフィックやテキスティング、そして何よりも情報発信そのものの全体設計を本気でやりました。
 
考えに考え抜いて、丁寧に丁寧にデザインしました。
 
自分にできることは、彼らの思いと社会との接点をできるだけなめらかにすること。
 
そのことに、全神経を集中しました。
 
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「スタディクーポン」という言葉。
 
今日の朝まで、数時間前まで、Googleで検索してもそんな言葉はこの世の中に存在しませんでした。
 
いまは、この世の中に少しずつ、「スタディクーポン」が溢れ始めています。Googleにも、Twitterにも、テレビにも、新しい言葉が広がり始めています。
 

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そのプロセスに、「スタディクーポン」が当たり前になっていくプロセスに、ぜひ参加してほしいと思います。
 
誰でも、参加することができます。
 
この投稿をシェアすることで、参加することができます。
 
自分にできる範囲の寄付をすることで、参加することができます。
 
ぜひ、参加してみてください。社会は変えられるという感覚に、参加してみてください。
 
私は、私の会社とチームメイトを巻き込んで、参加しました。巻き込まれた人たちは、参加してくれました。この会社の一員であることを、本当に誇りに思いました。
 
これから先、もっと多くの人と、会ったこともない、でも確かにこの社会を共に生きている多くの人と、この感覚を共にしていけたらと思います。
 
社会は変えられるという感覚を、共にしていけたらと思います。
 
一緒に参加しましょう。変化に。始まりに。
 
スタディクーポン・イニシアティブ
望月優大
 
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クラウドファンディングのサイト、心を込めて、時間をかけて、つくりました。ぜひ読んでみてください。
 
工夫を、散りばめました。
 
お金がなくて塾に通えない中学生に、みんなの力で「スタディクーポン」を届けたい

 

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この記事は昨日10/12にFacebookで投稿した内容を再構成したものです。

https://www.facebook.com/hiroki.mochizuki/posts/10101573520299511

 

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小さな変化に、参加しましょう。

 

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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経済産業省、Googleなどを経て、現在はスマートニュースでNPO支援プログラム《ATLAS Program》のリーダーを務める。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。BAMPで「旅する啓蒙」連載中。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(後期フーコーの自由論)。1985年埼玉県生まれ。
Twitter @hirokim21
Facebook hiroki.mochizuki