望月優大のブログ

見えているものを見えるようにする。

2015-01-01から1年間の記事一覧

雑感:2015年フランス州議会選挙

フランスの州議会選挙第2ラウンド=決選投票で移民排斥を唱える極右政党・国民戦線 Front National/FN が惨敗。第1ラウンドでは国民戦線が6つの州でトップだったが、投票率の全般的な上昇や社会党による二つの地域での候補者取り下げ=右派連合との選挙協…

書評『数学する身体』(森田真生 著)

森田さんが本を書いた。1985年生まれ、30歳の年である。 数学する身体 作者: 森田真生 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/10/19 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 森田さんは独立研究者。研究者と聞いて思い浮かべる範囲を大きくはみ出た活…

一億総活躍的な言葉遣いについて

一億総活躍担当相という役職が設けられたらしい。どんな役職なのか、詳しく知らない。ただ、またか、という気持ちである。 英訳を見ると、一億というのは全国民の比喩であるようだ。Minister in Charge of Promoting Dynamic Engagement of All Citizensだそ…

"正統と異端" の理論的エッセンス

西洋中世史家、堀米庸三先生の『正統と異端』を読んでいてこれはブログにメモしておきたいと思った部分があったのでご紹介します。 中世ヨーロッパのキリスト教の話をしながら堀米先生が抽出する "正統と異端" についての理論的エッセンスは、切れ味が鋭すぎ…

宇野重規『民主主義のつくり方』を読んだ

民主主義のつくり方 (筑摩選書) 作者: 宇野重規 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2013/10/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (19件) を見る プラグマティズムから民主主義を考える トクヴィル研究者の宇野先生による、プラグマティズムを強く参照…

大竹弘二+國分功一郎『統治新論』を読んだ

民主主義の意味を再考させる良書 統治新論 民主主義のマネジメント (atプラス叢書) 作者: 大竹弘二,國分功一郎 出版社/メーカー: 太田出版 発売日: 2015/01/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る シュミット研究者の大竹先生と、スピノザ…

池内恵『イスラーム国の衝撃』を読んだ

Facebookで日々迫力ある投稿をされている池内恵先生の新著。イスラーム国だけでなく、アル=カーイダに連なるグローバル・ジハードの系譜も含めてわかりやすく整理されており、今読むべき本だと思います。おすすめします。 イスラーム国の衝撃 (文春新書) 作…

フランスのテロ事件について考えた

「テロとの戦争」 シャルリー・エブド紙へのテロ事件について考えていることを書いておこうと思います。風刺画の中身そのもの及びそれに対する公的な規制の是非については措くとして、今回のテロ事件を機に改めて現代社会における自由と安全のねじれた関係に…