HIROKIM BLOG / 望月優大の日記

見えているものを見えるようにする。

世界報道写真展2016が素晴らしかった

世界報道写真展2016に行きました。恵比寿の東京都写真美術館で10/23までやっています。

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「世界報道写真展」は1955年にオランダのアムステルダムで、世界報道写真財団が発足したことにより、翌年から始まったドキュメンタリー、報道写真の展覧会です。毎年、1月から2月にかけて主に前年に撮影された写真を対象にした「世界報道写真コンテスト」が開かれ、国際審査員団によって入賞作品が選ばれます。十数人から成る審査員団は毎年メンバーを替えて、審査の中立性を保つ努力がなされています。今年の「第59回 世界報道写真コンテスト」には、128の国と地域、5,775人のプロの写真家から、合計8万2,951点の作品が応募されました。1年を通じて、世界の45カ国約100会場で開かれる本展は、約350万人以上が会場に足を運ぶ世界最大規模の写真展です。(HPより)

世界中のいたるところに様々な問題があること自体を知らなかったら、その一つ一つに対して関心を持つことも、背景や歴史を学ぶことも、自分なりの考えや意見を持つこともできません。すべての始まりに「知る」ということがあります。

しかし、どこでどう知るのが良いのか。それこそ外国語のものも含めて毎日大量の記事や写真、動画が生み出されているなかで、自分の限られた時間を使ってどこに情報を取りに行くのが良いのか。FacebookやTwitterで流れてくるものを見ているだけでは、当然偏りが生じます。ソーシャルグラフによる偏りは以前から指摘されていますが、より問題だと感じるのは「現在への偏り」です。問題の深刻性よりも新規性の高いものがニュースとなり、ソーシャルメディアを埋め尽くしてしまいます。

その意味で、世界報道写真展2016は進行中の様々な問題についての、かなり質の高いショーケースになっています。シリアやアフリカ諸国からヨーロッパに押し寄せる難民、米軍内での女性兵に対する性的暴行、中国での大気汚染や化学工場の爆発、セネガルにある全寮制イスラム学校における子どもたちに対する奴隷のような扱い、ネパール大地震、リオのファヴェーラでの警官による暴力とそれを記録しようとするアングラの人々。

昨日今日の出来事ではありません。この世界で長い時間をかけて起きていることについて、2015年のある一時点で撮影された写真が厳選されて展示されています。同じ2時間を費やすなら、ソーシャルメディアから拾ってきた記事をなんとなく読むよりも、ぜひ世界報道写真展2016に行ってみてください。目を覆いたくなる写真、こんな境遇を生きている人がいるのか、これが21世紀に起きているのか、そう感じさせる写真がたくさんあります。楽しくはないかもしれませんが、得難い体験になることを保証します。

プロフィール
望月優大(もちづきひろき) 
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慶應義塾大学法学部政治学科、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(ミシェル・フーコーの統治性論/新自由主義論)。経済産業省、Googleなどを経て、現在はIT企業でNPO支援等を担当。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味はカレー、ヒップホップ、山登り。1985年埼玉県生まれ。
Twitter @hirokim21
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