望月優大のブログ

見えているものを見えるようにする。

大人になったら。大人になっても。

今日は成人の日ですね。子どもが大人に変わる通過点。大人になったら何が変わりますかね。何が変わったかな。少し、考えてみました。

大人になったら学校に行かない。

大人の特徴のひとつは学校に行かないということですよね。当たり前だけど、大きな違いです。

私は24歳まで学校にいました。そのあとこれまで何年か働いてきて、31歳になって、そのことに気づきました。最近のことです。ああ、大人は学校に行かない。

学校って何だったでしょうか。学校にはテストがありますね。これが大きいなあと思います。成績が悪いと怒られたり進級できなかったりする。だからみんな勉強します、大なり小なり。

大人になったらそういうことはありません。もちろん、勤め先の仕事内容に関わるものはあるかもしれない。xxの資格を取りなさい、とか。

でも、それ以外のことは誰も教えてくれません。誰もテストを出してくれないし、誰も自分を評価してくれない。お前はバカだとか、もっとしっかり考えろとか言われることがなくなります。

誰からも。仕事以外のことについては。

私は学校に毎日きちんと通うのが得意ではないほうだったので、大人になって学校がなくなることは嬉しいことだと思っていました。でも、大人になって、学校時代よりも長い時間仕事をする生活に慣れてきたころ、言い知れない不安に襲われました。

世の中のことがさっぱりわからない。

学校で学んできたことはどんどん忘れてしまうし、日々のニュースをきちんと追いかける時間も気力もない。いまどんな本を読むべきか、誰も教えてくれない。

知っていることが全くアップデートされていないのに、知っているべきことはどんどん増えて行くように感じました。

このままでいいんだろうか。大人にも学校があればいいのに。テストがあるからと仕方なく新しい知識を詰め込めればいいのに、なんて妄想をしていました。

大人にも学校があればいいのに。でも、そんなものは今のところなさそうです。

大人になったら選挙で投票できる。

大人になったら、選挙で投票できるようになります。去年20歳から18歳に変わったので、成人の日がいう「成人」のタイミングとは少しずれてしまいましたが。

子どもは学校でいろいろなことを勉強して、勉強し終わったころに一人前の大人になって、選挙で投票できるようになります。政治に参加できるようになります。そういう仕組みになっています。

でも、知らないことばかりです。教わっていないことばかりです。

そりゃそうですよね。教科書には過去のことが書いてある。これから起こることは自分で情報を集めて、整理して、自分の頭で考えないといけない。

大人には教科書がありません。対して、世の中にはいろいろな情報があります。日々大量に作られ続ける大量の情報があります。

だから、大人になったら「適度な警戒心」を持たないといけないと思います。頼んでもいないのにするすると入ってくる情報が良い情報とは限りません。わかりやすくて短い時間で消化できる情報が良い情報とは限りません。

何かを理解した、何かを知っている、そう思ったときが一番危ない。自分が知りうることは本当に少なく、だからこそいつだって間違えうる。できるなら間違えたくないけれど、もし間違えてしまったらなるべく早めに気づきたいものです。

でも、それがとても難しい。気づいたらいつの間にかカロリー高め、塩分高めの情報ばかり摂取して満足しています。たくさんの文字を読んだはずなのに、たくさんの動画を観たはずなのに、何も残っていない。日々そんなことの繰り返しです。 

大人になったら。大人になっても。

私がこれまで生きてきてわかったこと。特効薬はない、ということだけです。そして特効薬がないからこそ、特効薬がほしくなるんですね。でもそんなものはない。学び続けるしかない、少しずつ、打ちのめされそうになりながらも。

学び続けるのは大変です。時間もお金もかかります。精神的な負荷もかかります。わからないことに直面しますから。わからないことをわからないままに耐えなければいけない、考え続けなければいけないからです。

ただ、そのことに慣れていくしかないと思います。

これは自分に対する希望であり、これから大人になる子どもたちに対する希望でもあり、ほかの大人たちに対する希望でもあります。

学校がなくても、テストがなくても、新しいことをどんどん学び続けたいと思います。教科書に書いていなかったことが毎日起きます。現在進行形で。学び続けたいと思います。この社会から、世界から目をそらさずにいたいと思います。

会ったこともない人、文字でしか出会ったことのない人のことを想像する、もう死んでしまっているかもしれない誰かのことを、これから生まれてくるかもしれない誰かのことを想像し続けたいと思います。

本を読み、旅に出て、人と話して、考え続けたいと思います。

そのことを根気強く続けていきたいと思います。

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加えて、私としては、学校がなくても、テストがなくても、学び、考え続けるためのきっかけを提供し続けていけたらと思っています。大人が大人であり続けるためのきっかけを、小さくても作り続けていけたらと思っています。

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こちらもそんな場所のひとつ。学校ではないけれど、丁寧に準備しました。

1/13 「子どもに誰が・いつ・どう性を伝えるか」トークショー ~SmartNews ATLAS Program「社会の子ども」vol.2~ | Peatix

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プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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慶應義塾大学法学部政治学科、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(ミシェル・フーコーの統治性論/新自由主義論)。経済産業省、Googleなどを経て、現在はIT企業でNPO支援等を担当。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味はカレー、ヒップホップ、山登り。1985年埼玉県生まれ。
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