HIROKIM BLOG / 望月優大の日記

見えているものを見えるようにする。

映画評『ラッカは静かに虐殺されている』

試写で『ラッカは静かに虐殺されている』(原題:CITY OF GHOSTS)を観た。一般公開は4/14からとのことだ。観た方が良い。

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映画の邦題「ラッカは静かに虐殺されている」は、ISの首都となったシリアの都市ラッカの状況を発信する市民グループの名前「Raqqa is Being Slaughtered Silently(RBSS)」を日本語に訳したものだ。

「静かに(Silenlty)」という言葉には、ISによって市民の情報発信が著しく統制され、それをくぐりぬけようとする者は命の危険に晒されるというニュアンスが込められている。実際にRBSSのメンバーや家族はその活動の代償として何人もが命を落とした。

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ISによる統治の根幹には「情報の統制」がある。人間に対しても、都市に対しても、その姿勢は共通している。外部との関係性を断ち、情報も断つ。外部からの情報入手を妨げ、外部への情報提供を妨げる。

支配領域の内部に対しても、外部に対しても、ISは自らの都合に合わせたプロパガンダだけを浴びさせられるような状況作りに腐心する。内部からは支配に対する忠誠を、外部からは新兵の候補者を、調達しようとする。

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ISがつくる映像の技術的なレベルの高さは相当なものだ。それは外国人を含めて多くの映像制作者が彼らに技術を提供していることを意味する。

RBSSの活動は、こうした情報の統制に風穴を開けようとする。現地の取材者が命を賭して撮影した写真や動画、「静かに進む虐殺」への抗議はこれらの情報をSNSを通じて世界に向けて発信するという形を取る。

それは、シリアやラッカの惨状に無関心な世界に対する、静かな抗議にもなっているだろう。

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RBSSは彼らが実際に通過した死の危険の結果として、「ラッカに残った者たち」と「トルコやドイツに逃れた者たち」に分かれ、それぞれが互いに情報をやり取りし連携するという形を取ることになった。

「ラッカの中に残った者たち」は匿名で写真や映像を撮り続ける。そこでは自分たちの故郷をスマホのカメラで写真に納めることが罪となり、彼らの日常は盗撮の緊張感を常に帯び続けることになる。

この盗撮は見つかったが最後、即座の死を意味するようなそれだ。

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彼らと緊密に連携しながら、「トルコやドイツに逃れた者たち」は日々現地にてかき集められる情報の発信源となる。シリアの外で、彼らは自らの名を明かしながら活動をする。

しかし、それはシリアを出たからといって彼らの身の安全が確保されているということを意味するわけではない。ISによるRBSS殺害の呼びかけに共鳴し連動する人々はそこかしこにいて、RBSSに関わった者たちが実際に殺されてもいる。

脅迫の知らせも、日々届いている。

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印象に残った言葉があった。

多くの子どもたちがISの兵士として育て上げられていく様子を伝えるシーン。無邪気な笑顔の子どもたちが、大人のIS兵士と一緒に街を歩く映像が流れる。その映像に被さるような形で、RBSSのメンバーが放った言葉だ。

ラッカでは日常がキャンプと化している。

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そこでは軍事キャンプの緊張感が日常を支配している。日常であればありえなかったはずのことが、日常の中で当たり前のようにして起こってしまう。日常であれば簡単にできたはずのことが、命を奪われるほどの大罪として扱われてしまう。 

そのありえなさ、意味のわからなさを伝えるためにこそ、RBSSは命をかけて情報を届けようとする。誰に?私たちにだ。

恐怖と日々戦いながら。そう言葉にすれば簡単だが、彼らの身体的な震えや嗚咽が、映像を通じて実際にそこにある恐怖の深度を訴えかけてくる。

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この映画の最も恐ろしい点は、RBSSの活動、彼らを取り巻く恐怖、そして何よりもシリアでの惨状が現在進行形(Being)であり続けているということだ。

この映画はよく出来すぎていて、あたかもそれがフィクションであるかのように錯覚をしてしまうかもしれない。あるいは、「過去になった出来事」を扱ったドキュメンタリー作品であるかのように、見えてしまうかもしれない。

だがひとたびRBSSやそのメンバーたちのSNSを見れば、彼らの活動が今日も明日も変わらず続いているという圧倒的な事実を突きつけられることになる。シリアの惨状とともに、彼らの活動は更新され続けているのだ(RBSSのウェブサイト)。

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ISの支配はひと時と比べてその規模をだいぶ小さくしたと言われている。

しかし、その情報と入れ違いになるかのように、アサド政権による東グータへの攻勢が勢いを増し、その戦闘の中で多くの人々が命を失い続けている。

内戦の開始から7年がたった今もなお、あらゆることが過去になっていない。

 

Raqqa is Being Slaughtered Silently. 

ラッカは静かに虐殺されている。

 

 

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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ライター・編集者。株式会社コモンセンス代表取締役。日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。BAMPで2本の連載(旅する啓蒙・社会を繕う)を執筆しつつ、現代ビジネス等にも寄稿している。経済産業省、Google、スマートニュース等を経て独立。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(地域文化研究専攻)。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。1985年生まれ。

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朝日新聞天声人語のコラムがニッポン複雑紀行の記事とよく似ていることについて

こんにちは。日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長の望月優大です。

やや物騒なタイトルの記事をアップしてしまい恐縮です。一つの問題提起をするためにこの記事を書いています。このあと概要を説明しますので読んでいただけたらと思います。

ニッポン複雑紀行は昨年12月に難民支援協会と共に立ち上げたウェブマガジンで、その第一弾記事として、12月6日に前新大久保駅長の阿部さんへのインタビュー記事を掲載しました。取材を行ったのは2017年の9月です。

外国人が多いことで知られる新大久保の駅長として、阿部さんが日本語学校の学生さんたちと協力して20ヶ国以上の多言語アナウンスを導入したというストーリー。阿部さん自身が青森県の出身で、青森弁を聞きに上野駅に行った経験があるということがこうした取り組みのベースになっており、SNSを中心に共感が大きく広がった結果とても多くの方に読んでいただくことができました。

この記事の公開後、実は朝日新聞の方からも、この記事やニッポン複雑紀行の取り組みに対する共感・関心をいただき、昨年12月31日のコラムで取り上げて(応援)くださったという経緯もあります。このコラムでは、ニッポン複雑紀行という一般的な取り組みのみならず、新大久保の多言語アナウンスという記事での具体的な取材対象についても言及をしてくださいました。

ウェブマガジンの立ち上げ直後にこのような形で取り上げてくださったことについては、編集部一同、本当に感謝の念しかありません。

なのですが、今回このブログ記事を書いているのは、先のニッポン複雑紀行の記事と非常によく似たストーリーが、ニッポン複雑紀行への言及なしに、先日1月31日の朝日新聞・天声人語に掲載されていたからです。

(天声人語)新大久保で耳を澄ます:朝日新聞デジタル

非常に迷ったのですが、どうしても見過ごせず、その記事が公開されてから1週間悩んだのちに、この記事を書いています。

「よく似ている」というのは、上述した「ストーリーの運び方」がよく似ているという意味です。一言一句が同じという訳ではもちろんありませんので、よく似ているかどうかは、ニッポン複雑紀行の記事と読み比べてみていただけたらと思います。私はよく似ていると思いました。

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繰り返しになりますが、天声人語の中でニッポン複雑紀行への言及はありません。また、事前・事後ともに編集部宛ご連絡いただけるということもありませんでした。

阿部さんがこの多言語アナウンスを始めたのは2015年のことです。

実は朝日新聞は当時もこのテーマで記事を掲載しており、オンライン上に今もその記事が残っています。

朝日新聞デジタル:大久保…多文化の街(2) - 東京 - 地域

こちらを読んでみるとよくわかるのですが、上記2018年の天声人語とは異なり、「新大久保駅での多言語アナウンス」という同じテーマを取り扱っていても、2015年の朝日新聞の記事の方ではニッポン複雑紀行が2017年につくった記事とは「ストーリーの運び方」も違いますし、「記事に盛り込まれている情報」も違います。

例えば、「阿部さん自身が青森出身で上野駅に青森弁を聞きに行っていた」という情報は2015年の記事には盛り込まれていませんでした。

「違う取材者」が「同じテーマや対象」をそれぞれ独自の視点で取材し、その取材に基づいて記事をつくっているわけですから、「同じテーマ」でも「違う記事」になるのは当然です。時事的なストレートニュースではなく、コラム的な体裁の記事であればなおさらでしょう。

にも関わらず、先日の天声人語の記事は「ストーリーの運び方」も「記事に盛り込まれている情報」もニッポン複雑紀行の記事と偶然とは思えないほどよく似ていると私は感じました。周りの友人や知人にも感想を聞いてみたのですが、同様の感想を述べる方ばかりでした。

朝日新聞が独自取材をしていないという意味ではありません。ニッポン複雑紀行で紹介している阿部さんの言葉とは良く似ている、けれど若干異なる「生のコメント」が引用されています。これは独自に取材されたのだろうと思いますが、やはり、よく似ている。

そもそも、このタイミングで2015年のテーマを取り上げ直すこと自体が、ニッポン複雑紀行による2017年末の記事をきっかけとしていることは明らかです。しかも、朝日新聞の年末のコラムでそのことについて取り上げているわけですから、偶然の類似ではありえないだろうと私は思いました。

このブログでは、そのことが何らかの法律に違反しているかどうかを問題にしたいわけではありません。

そうではなく、ここまで似ている記事を元記事への言及や事前の連絡なしに公開してしまうことが職業倫理の次元で許容されるべきものなのだろうか、そのことを問題に感じてこのブログを書いています。

あるいはもう少しラフな言い方をすればその行いがクールかクールでないか、こうした次元での問題意識とも言えるかもしれません。

大きな問題ではないという人もいるかもしれませんし、私と同じように感じる人もいるかもしれません。「問題ではない」という意見の中にも「よく似ているが問題ではない」という意見もあれば、「そもそもよく似ていないから問題ではない」という意見もあるかもしれません。

私としてはそうした意見の多様性があることは良いことだと思っていますし、だからこそ、私個人の意見が「よく似ている、そしてクールではないのではないか」というものであることを改めて書いておきたいと思います。

メディアの大先輩に対する、そして日々メディアがつくる情報に接し続ける私たち自身に対する一つの問題提起として、受け止めていただけたらと思います。

ニッポン複雑紀行は小さいながらも意思と誇りを持って立ち上げたウェブマガジンです。

非営利団体の潤沢ではないリソースの中から、身を削るようにして捻出したお金と時間を元手にしています。

「外国ルーツの方々の存在感が高まっていくこの社会の現状を多くの人に伝えたい」、そして「できうるならば阿部さんが記事中で語ってくださっているように、様々なルーツの人たち同士『うまくやっていきたい』という思いを広めたい」、そんな思いで地道に、ゆっくりゆっくり時間をかけて運営をしています。

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そんな中で、規模もパワーも段違いの朝日新聞を通じて、阿部さんや多言語アナウンスのストーリー自体が世間に広まっていくことは願ってもないことです。

ただ、同時に、情報の作り手としてのモラル、職業倫理についても考えていく必要があるのではないかと、私は思います。

規模の大小に関わらず、独自予算で独自の取材をすることに対して、作り手の間でのリスペクトが必要ではないでしょうか。私たち以外の多様な作り手の姿も想像しながら、そんなことを思いました。

ニッポン複雑紀行は以下のコンセプトを掲げています。
「ニッポンは複雑だ。複雑でいいし、複雑なほうがもっといい。」

私は朝日新聞がこうしたコンセプトに近い気持ちで運営されているメディアなのではないかと思います。

私自身、個人的に付き合いのある記者の方もいますし、年末のコラムでニッポン複雑紀行を好意的に取り上げてくださったことからも明らかだと思います。そして、何よりも、天声人語でこのストーリーを取り上げようと思われたこと自体がそのことを傍証していると思います。

だからこそ、このブログ記事を公開することを最後の最後まで悩みました。そして、同じ理由で公開することを決めました。

なお、朝日新聞へのクローズドな連絡ではなく、公開でのブログ記事という形を選んだのは、すでに先の天声人語が一般に公開されているということ、そしてこうしたグレーな問題について社会的な形での議論を喚起できればと思ったことが理由です。

あくまで一つの問題提起と受け止めていただけたらと思いますし、誰かを傷つけることなく、ポジティブな形で議論ができれば幸いです。よろしくお願いします。

望月優大|ニッポン複雑紀行・編集長

 

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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ライター・編集者。株式会社コモンセンス代表取締役。日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。BAMPで「旅する啓蒙」連載中。経済産業省、Googleなどを経て、スマートニュースでNPO支援プログラム「ATLAS Program」のリーダーを務めたのち17年12月に独立。低所得世帯の子どもたちに教育機会を届ける「スタディクーポン・イニシアティブ」にも参画し、クラウドファンディングで1400万円を超える寄付金を集める。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(地域文化研究専攻)。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。1985年生まれ。

Twitter @hirokim21
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望月優大の仕事|10個の言葉で振り返る2017年

こんにちは。望月優大です。

昨年は年末に独立という比較的大きな動きを通過した1年だったので、未来の自分のためにも、時系列で何をしていたか簡単にまとめておこうと思います。

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ちなみにこちらの写真は年末年始にアゼルバイジャンで現地の子と撮ったものです。

では、振り返ってみましょう。だだーっと羅列していきます。その後に全体を通底するテーマを10個の言葉にまとめてみたので、そちらもよかったらご覧ください。

2017年の振り返り

1月

  • ベルリンとプラハへの旅

  • 寄稿
    「私たちが生きていくために必要な関係性にはまだ名前がないーー家族と社会の新しいあり方について」@りっすん

  • イベント主催
    「子どもに誰が・いつ・どう性を伝えるか」藤見里紗さん(マドレボニータ)、坂爪真吾さん(ホワイトハンズ)、紫原明子さん+松岡宗嗣さん(SmartNews ATLAS Program)@スマートニュース

  • 大西連さん(もやい)と小田原の「保護なめんな」ジャンパー問題についてFacebook Liveをしました。

2月

  • イベント主催(映画上映会+トークイベント)
    映画『女を修理する男』
    トークイベント「私たちは私たちの(無)関心とどう付き合うか」w/野津美由紀さん(難民支援協会)、渡部清花さん(WELgee)

    イベント後にブログの方にもまとめました。

    元々のきっかけになったブログ記事がこちら。

  • イベント主催(映画上映会+トークイベント)
    映画『みんなの学校』真鍋監督をお招きしてのトークイベント

    事前にブログを書いていました。

  • ブログ(読まれました)

  • イベント登壇(映画上映後のトークイベント)
    映画『海は燃えている』@渋谷Bunkamuraル・シネマ
    安田菜津紀さん(フォトジャーナリスト)とのトークイベント
    こちらの記事に安田菜津紀さんとのトークの内容を書き起こしていただいています。

3月

  • イベント登壇(映画上映後のトークイベント)
    映画『さとにきたらええやん』
    重江監督、徳谷柿次郎さんとのトークイベント@シネマチュプキタバタ

  • イベント/クラウドファンディングのサポート
    PIECES「子どもをひとりぼっちにしないプロジェクト」キックオフイベント

    イベントの内容をブログにまとめました。

4月

  • ブログ(長く読まれています)

5月

  • 中国・新疆ウイグル自治区への旅
  •  企画・編集
    「漫画でわかる『子どもの貧困』- ポイントは「3つの孤立」と「溜め」だった」@ジモコロ
    小澤いぶきさん(PIECES)、湯浅誠さん(社会活動家)、徳谷柿次郎さん(ジモコロ編集長)、マキゾウさん(漫画家) 

  • イベント主催
    SmartNews ATLAS Program 2 クロージングイベント「社会をじんわり揺さぶるための広報」駒崎弘樹さん(フローレンス)、小澤いぶきさん(PIECES)、徳谷柿次郎さん(ジモコロ)、植原正太郎さん(green.jp)etc

  • ブログ(よく読まれました)

  • ブログ(これもよく読まれました)

6月

  • イベント登壇
    「経産省ペーパー」は何を見落としていたのか
    仁平典宏さん(東京大学准教授)、星野貴彦さん(プレジデントオンライン副編集長)、南章行さん(ココナラCEO)

    参加者の方によるブログもアップされていました。

  • イベント登壇
    立ちすくむ国家ワークショップ。Code for Japan関さん主催のイベント。
    イベント冒頭のセッションにて経産省「次官・若手ペーパー」の執筆メンバーと対談しました。

    その模様がBuzzfeedにて記事化されています。

  • イベントサポート
    難民支援協会「Refugee Talk」エチオピアからの難民の方をお招きしてのトークイベント。

    イベントの内容をブログにまとめました。

  • メディア出演(生放送)
    TOKYO FM TIMELINE "「反緊縮」を支持したイギリスの若者。そして日本は…"

    イギリスの総選挙について、特に若い世代の動向や緊縮という争点に関してコメントしました。関連するブログ記事がこちら。

  • 寄稿
    Forbes Japan 8月号の企画「次世代型寄付先カタログ30」にアドバイザリーボードの一人として参加させていただきました。

    難民支援協会、フローレンス、もやいの3団体を選ばせていただき、コメントを寄せさせていただきました。

  • 寄稿(?)

7月

  • イベント登壇
    東京ホームタウンプロジェクトのイベントに登壇。
    嵯峨生馬さん(サービスグラント)、井上温子さん(ドリームタウン)と。

  • イベントサポート
    PIECES設立1周年記念トークイベント

  • メディア出演(生放送)
    スカパー「ニュースザップ」

    ミラノヴィッチ『大不平等』のエレファントカーブの話をした記憶が。

  • メディア掲載
    賢人論にて連続3回のインタビュー記事を掲載いただきました。

8月

9月

  • キプロスへの旅

  • 寄稿(連載)
    第2話「警察は突然やってくる。ウイグル自治区「見えない壁」の実態」

  • イベント主催(映画上映会+トークイベント)
    映画『ソニータ』
    トークイベント w/ 野津美由紀さん(難民支援協会)

  • 講演
    NPO法人Mielkaの学生メンバー向けに講演させていただきました。

10月

  • スタディクーポン・イニシアティブをリリース。
    プロジェクト全体の設計と実施にフルコミット。特に情報発信面を中心としながらプロジェクト全体に対してサポートを行う。リリース当日は文科省で記者会見をし、ほぼ全ての全国紙、主要テレビ局、ヤフートピックスを含む各種ウェブメディアなどで取り上げていただくことができました。

    たくさん応援いただいたFacebookの投稿。

    ブログにまとめ直したもの。

    イベントも実施しました。

    ブログで5本インタビュー記事を書いたのでこちらもぜひ読んでみてください。今井悠介さん、安田祐輔さん、安田菜津紀さん、駒崎弘樹さん、大西連さん。

11月

  • 企画
    スタディクーポンに関する掘り下げた記事をBAMPとともに企画しました。
    「「渋谷にも貧困はある」渋谷区長とNPOが教育格差へ挑む」

  • 講演
    宮崎県でライター養成講座の講師を務めさせていただきました。

  • イベント登壇
    浅谷治樹さん(SENSEI NOTE)、小澤いぶきさん(PIECES)、井波祐二さん(公立高校定時制教諭)、岡本和隆さん(公立中学教諭)と。テーマは「貧困から脱出する術としての教育」。

  • inquireやsoarのライター・編集者向けに、社内ゼミの先生役を始めさせていただきました。

  • スタディクーポン・イニシアティブ、目標の1000万円を大幅に上回る1400万円超の寄付金調達に成功。メディアインパクトも含めた社会的なインパクトという意味では今年一番大きな仕事だったと思います。
  • スマートニュース株式会社を退社。 

12月

  • 株式会社コモンセンスを設立し独立。

  • 日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」を難民支援協会とともにスタート、編集長に就任。

    これまでにつくった記事。

    3本目にして1100ブクマ突破しました…!!! 

  • パラレル親方イベントに親方見習いとして参加させていただきました。

  • 慶應大学の学生たちからインタビューいただきました。今後記事化される予定です。

  • メディア掲載
    ニッポン複雑紀行について取材いただきました。望月個人のコメントや街で体験したエピソードも掲載いただいています。

  • ジョージア(グルジア)・アゼルバイジャンへの旅(カタールに寄り道しつつ)

  • (元旦:NHK「ニッポンのジレンマ」SP)

    今晩(12/7 0:45~)再放送されるそうです。 

振り返ってみて

こちらに書いたものはあくまで今の仕事に直接つながっているもので、ここに書いていない仕事もたくさんやっていました。特に年の前半は前職でのマーケティングの仕事をがっつり責任を持ってやっていたので、よく他のこともこれだけやっていたなと思います。楽しかったからできていたのかなと思います。

この記事で取り上げた個別の取り組みに通底するテーマ性・関心の拠り所を無理矢理10個の言葉にまとめてみました。大体こんな感じかなと思います。並びや順番にあまり意味はありません。

  1. 映画
  2. 貧困・反緊縮
  3. 移民・難民
  4. 教育・学び
  5. 公共性・情報発信
  6. 社会参加・ソーシャルセクター
  7. 人間関係・社会連帯の再定義
  8. 親方・フックアップ
  9. 自由

一つ一つの行動や取り組みを通じて自分の関心や他者との関係性がどんどん新しい方へと紡がれていくような、そんな感覚があります。2017年はそんな一年でした。有機的に物事が広がっていくような、そんな一年でした。

全てのお仕事を通じてご一緒させていただいた皆さまに改めて感謝するとともに、今年も様々な方達と同じ時間を過ごせることを心から楽しみにしています。

2018年、一緒に良い年にしましょう。

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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ライター・編集者。株式会社コモンセンス代表取締役。日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。BAMPで「旅する啓蒙」連載中。経済産業省、Googleなどを経て、スマートニュースでNPO支援プログラム「ATLAS Program」のリーダーを務めたのち17年12月に独立。低所得世帯の子どもたちに教育機会を届ける「スタディクーポン・イニシアティブ」にも参画し、クラウドファンディングで1400万円を超える寄付金を集める。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(地域文化研究専攻)。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。1985年生まれ。

▶︎SNS|Twitter @hirokim21 / Facebook hiroki.mochizuki / Instagram / NewsPicks / note
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僕が『複雑』に込めたもの。日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」をはじめます

こんにちは。望月優大です。今日12月1日は私の独立以外にもう一つお伝えしたいニュースがあります。色々重ねすぎて最近はあまり寝れませんでした・・・笑

なお、独立についてはこちらにまとめていますのでぜひご覧になってみてください。

ニュースというのはこちらです。

 

難民支援協会とウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」をはじめます。

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プレスリリース:
難民支援協会、日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン『ニッポン複雑紀行』をリリース。外部より望月優大氏が編集長として参画|ニュースリリース|難民支援協会の活動 − 認定NPO法人 難民支援協会 / Japan Association for Refugees
ウェブサイト:

ニッポン複雑紀行 presented by 認定NPO法人 難民支援協会

 

大事なことは3つです。これを覚えてください。

ニッポン複雑紀行は・・・

  1. 日本国内にやってきた難民の方を支援する団体である「認定NPO法人難民支援協会」による事業としてのウェブマガジンであること。
  2. コモンセンス望月が編集長に就任すること。
  3. 取り上げるテーマは「日本の移民文化・移民事情」であること。

この3つです。

さらっと読んでしまうと思うんですが、これ、本当に凄いことなんです。

 

NPOがメディアをやるということのハードル

まず一つ目に寄付など歳入への貢献が見えやすいいわゆる「ファンドレイジング」ではない情報発信にNPOが本腰を入れて取り組むということ。これ、やりたいと思っているNPOはたくさんあります。でもやっぱり踏み込めない、そういう団体が多いのが事実だと思います。

だって、すぐに寄付が増える訳ではない。認知啓発は新聞がやってくれる、ブロガーがやってくれる。自分が限られたリソースを使ってやる意味なんてあるんだろうか。自分たちは資金調達・ファンドレイジングに集中しよう。こういう風に思うのは不思議ではありません。

メディアをやるってスキルとか知識だけの問題ではなくて、それらももちろん大事なのですが、やはりマラソンであるし、気力と体力がみなぎっていないとできない。そして、そのマラソンを支える資金面での裏付けが必要なんです。支え続けるんだという意思が必要です。

メディアをやるということは、コミュニティをつくるということだと思うし、もっと言えば文化をつくるということだと思っています。そこを見据えて、最後に問われるのは「本当にやりたいの?」これだけだと思います。

 

最後に乗り越えるのは「やりたい」という意思

難民支援協会の広報部には田中さんと野津さんという女性がいるのですが、彼女たちはここが完全にはっきりしていて。「やりたいんだ」とそれだけは揺るがなかった。「メディアやるって簡単じゃないですよ、わかってますか?」って詰めてもそこは揺るがなかったです。

田中さんに至っては「一緒に複雑紀行をやりたさすぎたのか、夢に望月さんの実家に行くシーンが出てきました」とぶっ飛んだ発言をされていました。意思というのは、無意識の領域すら侵食していくわけです。

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田中さん

ただ、やはり予算はそんなに潤沢にあるわけではないのも事実です。営利企業でもオウンドメディアへの予算配分を正当化できていない企業はいくらでもあります。その中でNPOですから、よほど難しい。でも、ギリギリの予算を捻出してくださいました。自分もギリギリでお受けしています。本当にお互いギリギリの世界がここにあります笑

だから、読者のみなさん、応援してください笑。いや、質が低いのに応援してくださいとは言いませんよ。つまらなかったら大丈夫です。ただ、他のメディアよりちょっとだけ余計に愛を持って見てほしい。そうしたら、ちょっとでも面白いなとか引っかかりがあったら、いいねとかシェアとか自然にしてあげようという気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。奇跡のギリギリバランスで成り立っている、そのことを忘れないでいただけたら・・・笑

ウェブのデザインは良く言えばミニマム、悪く言えば物足りなく感じられるかもしれません。でも、そこにこのコンテクストと味わいを読み取ってもらえたらと思います。事務局長の吉山さんという男性の方がいらっしゃるんですが、事務局長直々にサイトを作ってくれました。そういう手弁当の情熱で出来上がっています。ミニマムだけど体温は確かにある。

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体温という言葉が好きなんですが、意思のことなんですよね。意思と必要性は違いますよ。必要でもやりたくないことってありますよね。やりたいことはやりたいことなんです。必要性だけから生まれてくるものではありません。

体温のある人間からのみ生まれてくるんです。「はじめたい」という意思にちょうどいい形を与えるのが編集長をお受けした自分の仕事だと思っています。はじめたいので。

 

「子どもの貧困」も「ローカル」もなかった時代があった

そんな時代があったんです。

いま「当たり前」のことがそうでない時代がありました。思い出せると思います。確かにあったんです。10年くらいかけて、その境界線を僕たちはまたいできている。多くの人は意識しないうちに。

でも、固有名を出すことはしませんが、「あえて」一つの問題、一つのカルチャーにコミットし、その存在をメインストリームへと押し広げようとしてきた人たちがきっといたんです。「子どもの貧困」でもなんでもそうです。自分たちはその人たちがうううーっと手を伸ばした先に立っていたんだと思います。そして、僕らのうちの何人かがその手を掴んだ。

ニッポン複雑紀行が焦点を当てるのは日本の移民文化・移民事情です。「在留外国人」という呼称で括られる人たち、彼らの数は年を追うごとに増えています。昨年末で238万人ですが、今年はもっと増えているのではないかと思います。 

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この数字そのものに「良い」も「悪い」もありません。ただ、どんどん個別の現場に『複雑』が入り込んできているのだろうとは想像します。街に、学校に、不動産屋に、コンビニに、工事現場に、色々なところにです。単純な当たり前が幻想となり、複雑な現実に少しずつ置き換わっていく。

その一つ一つをミクロな視点でまずは見てみよう。そして、できうるならば、「複雑なほうがもっといい」と高らかに言ってのけながら新しい当たり前へと更新していきたい。移民文化に対する真っ当な関心と、より多くを知った人たちによるリスペクトが重なっていく地点を見据えたい。

もちろん摩擦やネガティブなこともあるでしょう。そこから目を逸らそうとは思いません。きちんと見る必要がある。とはいえ理想というものを心のどこかにきちんと持っておきたいということです。

プレスリリースに編集長として寄せた言葉を紹介します。

ニッポン複雑紀行のスタートに寄せて

2005年、19歳のとき、生まれて初めて日本の外に出ました。パリ北駅のCD屋で、移民とその子孫たちが紡ぐフランス産のヒップホップアルバムを買い込みました。ラテン地区にあるベトナム料理屋で、絶品のフォーを食べました。移民の人々が集住するサンドニスタジアム近くの団地のそばで、粉々のガラス片と骨組になった電話ボックスの残骸を見ました。

2017年、東京で暮らしていて、あのときのことを思い出します。難民支援協会のように、この国の中で日常的に外国人の方たちと接し、その生活を支えてきたNPOだからこそ見えること、社会に対して発信できることがあるはずです。その知恵と外部の力を掛け合わせて、読者が移民文化や移民事情の現実に触れるきっかけとなるような記事を少しずつ丁寧につくっていけたらと思っています。 

こんな気持ちで、当たり前を少しずつ更新していけたらと思っています。ちっぽけな存在なんだから、ゆっくりで構わない。でも温度だけは失わないように。

 

僕が『複雑』に込めたもの

さて、改めてですが、このウェブマガジンは「ニッポン複雑紀行」と名付けました。ニッポン、複雑、紀行、どれも大切なのですが、どれが一番大事かと言えば『複雑』ですよ。これが一番大事。タグラインはこうです。

"ニッポンは複雑だ。複雑でいいし、複雑なほうがもっといい。"

言い切ってみました。だから、気に入っています。

 

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『複雑』ということで一つ思い出すことがあります。

Funky DLというイギリス出身の黒人ラッパーがいて、高校生のときからよく聴いていました。

なかでも好きだったのは “Simply 2 Complicated” という2001年の曲で

周りのいろんなやつらが人生についてイージーだとかシンプルだとか色々言ってくる。でも実際に生きてみるととんでもなく複雑じゃないか」

そんな内容のことをラップしています。

 

 

サビの最後でDLは

“If you don’t walk in my shoes, don’t tell me how it is”

とシャウトします。

「自分と同じ立場に立つのでないなら、他人のくせに人生がどうのこうのと言ってくるな」

という意味です。実はこのフレーズのもとになっていることわざがあって

”Don't judge a man until you have walked a mile in his boots.”

要は「他人の立場で勝手に裁くな」ということです。

知らない人ほど単純化しようとします。知らないものにレッテルを貼ったり、根拠のない噂で恐れたりします。だから、ニッポン複雑紀行は「ニッポンは複雑だ」と確認し続けるための小さな場所にしたいと思っています。

この社会のひだの一つ一つに分け入っていくことで、わかりやすいルーツや属性に還元しきれない小さな歴史を紡いでいけたらと思っています。 

 

ニッポンは複雑だ。複雑でいいし、複雑なほうがもっといい。 

 

他人の立場で勝手に裁かない。

当たり前は必ず誰かが更新していくんだ。

 

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ニッポン複雑紀行
日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン

  • 企画主催|認定NPO法人 難民支援協会
  • 編集長|望月優大(株式会社コモンセンス代表)
  • ロゴデザイン|中屋 辰平(グラフィックデザイナー)
  • 協力|ゴールドマン・サックス証券株式会社

 

1本目の記事は来週12月6日にお届けする予定です。

 

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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ライター・編集者。株式会社コモンセンス代表。日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。BAMPで「旅する啓蒙」連載中。経済産業省、Googleなどを経て、スマートニュースでNPO支援プログラム「ATLAS Program」のリーダーを務めたのち独立。低所得世帯の子どもたちに教育機会を届ける「スタディクーポン・イニシアティブ」にも参画し、クラウドファンディングで1000万円を超える寄付金を集める。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(地域文化研究専攻)。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。1985年生まれ。
Twitter @hirokim21 / Facebook hiroki.mochizuki / Instagram / NewsPicks / note
お仕事の依頼等 hiroki.mochizuki[a]cmmnsns.jp

スマートニュースを卒業します。独立してコモンセンスという会社をつくります

こんにちは。望月優大です。ご報告があり、少し長めのブログを書いていきます。

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(Photo by 松岡宗嗣)

 

スマートニュースを卒業します。

私は2017年11月末をもって、2014年から3年強在籍させていただいたスマートニュース株式会社を卒業し、12月1日に小さな自分の会社をつくって、そこを拠点に新しい取り組みを始めることに決めました。独立することに決めたということになります。

こちらは11月30日の夕方にお別れ会を行っていただいたときの写真です。そこでスマニューへの思いを述べさせていただく機会をいただいたのですが、思いがけずやや瞳が潤ってしまった後の集合写真なので、顔がぐしゃっとしています。そんなつもりではなかったのですが、涙腺が勝手に反応してしまいました。昔から泣き虫なんですよね。

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2017.11.30

スマニューをつくってくれた健さん・階生さんはじめ、スマニューの大切な仲間のみなさん、本当に本当にありがとうございました。自分の人生を変えてくれたチームであり、3年間という時間でした。

続いてこちらは同日24:30ごろにオフィスを去るときの写真です。最終出社日にも関わらず、一番遅くまで会社に居残ってしまいました。しかも、顔が猛烈に疲れています。頭もボサボサ。それには理由があって。

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スタディクーポン、1400万円超の寄付を集めることができました。

実は、この11月30日は、私がつくってリーダーを務めていたNPO支援プログラム「SmartNews ATLAS Program」の枠組みを通じて支援していた「スタディクーポン・イニシアティブ」という取り組み、その大型のクラウドファンディングの最終日だったんですね。

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スタディクーポン・イニシアティブ x 渋谷区(10/12文部科学省での発足記者会見の様子、私は右上に)

23:59までチームのみんなでクラウドファンディングを走り切り、解散した後に燃え尽きているのが上の写真になります。

最終的に731人の方から、総額1400万円以上の寄付をいただく、集めることができました。元々の目標額が1000万円の設定だったので大幅に目標を超えての達成をすることができてとても嬉しかったです。

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CAMPFIREのソーシャルグッドカテゴリーで史上最高の調達金額を大幅に更新したようです。

自分自身、そこまで裕福ではないひとり親家庭の出身だったので、この企画にはことさら思い入れを持って取り組みました。こちらの記事にもそのことは書いてあります。

 

これまでの経験の集大成として。

スタディクーポンのプロジェクトに対して自分が実際にどんな価値を提供できたかと考えていました。6つの価値に整理できるのではないかなと思ってまとめたのが以下の図になります。

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スタディクーポン・イニシアティブに提供した6つの価値

  1. チームビルディング/モチベーション
  2. コンセプトメイキング
  3. ネーミング 
  4. クリエイティブ
  5. クラウドファンディングLPの制作
  6. ローンチ後のコミュニケーション全般のデザイン

自分で言うのも大変おこがましいですが、プロジェクトの基礎になる部分をしっかり定義しつつ、それを具体的な形のあるものへとデザインすることで、チームの一人一人が共有できる土台づくりができたのではないかと思っています。

思いを持ったメンバーがそれぞれ全速力で走り抜くために必要な条件を片っ端から整えていくような、そういう作業だったと振り返って思います。

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色々な場所で働いてきました。

このスタディクーポンの支援という仕事は、「Google for Nonprofits」や「SmartNews ATLAS Program」でこれまで取り組んできたNPO支援という文脈だけではなく、経済産業省で働いた経験や、コミュニケーションやマーケティングに関わってきた経験、そして個人としてもブロガー・ライターとしての動きを地道に続けてきた経験、そのすべての積み重ねの集大成のような仕事だったと思っています。

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独立をする節目に自分の体温を乗せられる素晴らしい仕事と出会うことができて本当に良かったと思っています。 

 

チャンスをくれた変な人たち(aka 恩人)

この3年間、スマートニュースにいた期間の中で自分の人生が大きな変化を通過したと思っているのですが、やはり人との出会いが一番大切だったと思っています。

全員をここで列挙することはできないのですが、特に大事な出会いだったと思う人たちを3人(3組)紹介させてください。 

 

①健さん・階生さん(鈴木健・浜本階生)
"「自由にやる方がいい」ということを教えてくれた人"

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入社当初にサンフランシスコに行ったときの写真(2014年冬)。アプリアイコンも古いバージョン。

スマニューをつくったこの2人は相当に変な人たちです。仕事上の個別の場面で考えがぶつかることも何度もありました。

でも、自分がこの3年間自由演技をどんどんできたのは、やっぱりこの2人がいてこそ、この2人がつくった会社と文化があってこそだったと強く思っています。変な学校の変な校長先生のような、そんな2人がいたからこそ、自分もヘンテコなことにたくさん挑戦できた。そのことをとてもとても感謝しています。

学校と言えば、実は自分がスマニューに入社して最初に打診された仕事は「本棚をつくる」という仕事でした。今思い返してみてもだいぶぶっ飛んだ仕事だと思うのですが、出来上がったものがこちらになります。

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独立研究者の森田真生さん、クリエイティブ・ディレクターの小石祐介さん、大ベテランの編集者、そして社内の有志でこの本棚を作りました。血の通った選書を進めるために、森田さんと社員みんなで講演会や読書会を繰り返し、そのプロセスを記録した冊子まで制作しました。

スマニューでは本当に色々な仕事をしましたが、この会社らしい、印象に残っている仕事の一つです。変な仕事でしたが、とても楽しかったです。

 

②柿次郎さん(徳谷柿次郎)
"「楽しくやる方がいい」ということを教えてくれた人"

ジモコロ/BAMP編集長の柿次郎さんとは出会ってまだ2年くらいなのですが、とても大きな影響を受けている少し年上の先輩です。

Photo by 鶴と亀の小林くんでお送りします。 

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二人とも寝てる。

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柿次郎さん寝てる。

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自分寝てる。

それぞれ個性を持った仲間たちが、ジャンルを超えてお互いを支え合っていくようなビジョンだったり、ウェブコンテンツでも一つの作品のようにじっくり取り組む姿勢など、2年という時間のなかで教えてもらったこと、共感するポイントがたくさんあります。

文化への愛やこだわりを仕事に持ち込もうとする姿勢もとても近い気がします。これからも関わり合いの中で色々なことを一緒にやっていけたらいいなと思っています。
 

③そうし(松岡宗嗣)
"「チームでやる方がいい」ということを教えてくれた人"

そうしは元々ATLAS Programの支援先団体の大学生メンバーだったのですが、その後インターンとしてスマニューで働いてもらえるようになりました。

スタディクーポンを含むATLAS Programの様々な場面で、自分の「こんなことがしたい」というイメージを形にしてくれたり、ディスカッションを深めていくパートナーとしてとても大きな役割を果たしてくれました。

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スタディクーポン・イニシアティブはそうしと2人で支えました。

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ATLAS Program第2期の支援メンバー(松岡宗嗣、中井祥子、望月、紫原明子)

自分は細かいところにもこだわりが強いタイプなのですが、チームで分け合っていくことで全体としてできることが増えていくことも実感させてもらえたし、いいチームというのはこういうことなのかなということを理解させてくれたと思っています。ありがとう。

2年近い時間の中で、互いに多くのことを学ぶことができたのではないでしょうか。

 

「コモンセンス」 という会社をつくります。

未来について少し書きます。

私がつくる小さな会社の名前は「コモンセンス」と言います。直訳すると「共通感覚」ですね。好きなラッパーの名前でもありますし、アメリカ独立革命に繋がったトマス・ペインの有名な著書の名前でもあります。

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コモンセンスは「会社」というよりは「レーベル」のようなイメージでつくりました。今のところ自分しか所属していないわけなのですが笑、書き手、作り手に肩入れして一緒に育っていくような関係性を築いていきたいと考えています。

(何を言っているか抽象的でよくわからないと思うので、この部分は自分が色々やっていく中で感じていただけたらと思います。)

ロゴは中屋くん(中屋辰平)がデザインしてくれました。とても気に入っているので、スウェットやステッカーをつくろうと思っています。

"Use your common sense." のような言葉づかいがありますが、全ての知識をかき集めて「正しく判断する」ことが原理的に不可能であるなかで、それぞれのちっぽけな人間が日常の中でどうやって良いこととそうでないことを判断していくことができるか。この問いはとても重いと思っています。

政治哲学者のハンナ・アーレントにこんな言葉があります。

共通感覚を奪われた人間とは、所詮、推理することのできる、そして「結果を計算する」ことのできる動物以上のものではない ーー『人間の条件』

共通感覚とは何か?

これからの活動を通じて、考え続けていきたい問いだと思っています。

 

何をするのか?ーーー批評・編集・企画のハイブリッド

最後に、今後の仕事の一部をご紹介します。

何かを考える、話す、書く、編集する、面白いことやかっこいいことを企画する、といったことが基本になると思っています。ソーシャルセクターに限らず、色々な領域の方たちと面白い取り組みを一つずつつくっていけたらと思っています。

「望月と一緒にこんなことをしてみたい」ということがありましたら、ぜひご一報ください。

 

▶︎ 日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン『ニッポン複雑紀行』の編集長に就任します。

認定NPO法人難民支援協会の情報発信を編集の力でサポートすることで、『日本における「移民」』というテーマに関してじっくりコトコト記事をつくっていきます。自分以外の相性のいい外部ライターにも参加してもらえたらと思っています。

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こちらのロゴデザインも中屋くん(中屋辰平)にお願いしました。

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ウェブマガジン『ニッポン複雑紀行』企画の詳細についてはぜひこちらのプレスリリースをお読みください。

難民支援協会、日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン『ニッポン複雑紀行』をリリース。外部より望月優大氏が編集長として参画

 

(12/1 20:13追記)ブログを書いたのでぜひご覧ください。

 

▶︎ BAMPで「旅する啓蒙」の連載を継続します。他媒体での執筆も始めます。

連載「旅する啓蒙」お待たせしてしまっていますが、ウイグル自治区篇を完成させたのち、キプロス篇に突入できればと思っています。

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また、今後はより硬めの媒体でも、連載などの形で書き物を積み上げていければと考えています。

 

▶︎ inquire / soar チームと実験的なゼミ=学びの場を営んでいきます。

モリジュンヤさんが声をかけてくださり、若手や同年代のライター・編集者の方々と「すぐに役立たない」ことについて考える、話し合うためのゼミ形式の時間を継続的につくっていくという取り組みを始めています。

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▶︎ NHK「ニッポンのジレンマ2018元日SP」に出演します。

テーマは「根拠なき不安」を超えて、とのことです。討論型でしかも長尺の番組に出演するのは初めてですが、がんばってみます。

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今後やってみたいこと、やっていきたいこと

  • 本をきちんと書きたい/つくりたい。
  • ラジオなど継続的な対話の場所を持ちたい/つくりたい。 
  • 可能性を感じる組織や書き手、つくり手とともに試行錯誤していきたい。

時間の使い方がこれまでと大きく変えられるタイミングではあるので、新しい挑戦を色々としていきたいと思っています。 

 

だいぶ長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。これから新しいスタートになりますが、自分なりに楽しんでいけたらと思っています。ぜひ応援いただけたら嬉しいです。

 

▶︎今後の動きは個人のSNSなどで都度発信していきますので、よかったらそれぞれフォローをお願いします。

 

▶︎ご連絡やお仕事のご依頼はこちらまでお願いします。

hiroki.mochizuki@cmmnsns.jp

 

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頑張るぞー!!!

 

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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ライター・編集者。株式会社コモンセンス代表。日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。BAMPで「旅する啓蒙」連載中。経済産業省、Googleなどを経て、スマートニュースでNPO支援プログラム「ATLAS Program」のリーダーを務めたのち独立。低所得世帯の子どもたちに教育機会を届ける「スタディクーポン・イニシアティブ」にも参画し、クラウドファンディングで1000万円を超える寄付金を集める。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(地域文化研究専攻)。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。1985年生まれ。
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「親方」というもう一つのチャンスについて

先ほど上司の川崎さんとご飯に行って感動したので、そのことについて少しだけブログに残しておきたいと思って書く走り書きのメモです。川崎さん、ありがとうございました。最初に、忘れないうちに、感謝の気持ちを書いておきます。

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川崎さん

自分は昔から人と人との関係性やその種類、その微妙なあり方がとても気になっていて。人が豊かに暮らしたり、新しい世界を切り開く勇気を得たりするにあたって、どんな関係性が必要だろうか、そしてそれは現実に生きる人たちにどの程度足りていて、足りていないのだろうか、ということを考えて生きてきました。

お金だけじゃないだろうと。お金がいくらあってもそれだけですっくと立って生きられるわけではないだろう、そう思ってきました。何らかの種類の関係性、信頼、そういったものが必要だろう、そう思ってきたんですね。

もちろん誰もが血のつながった「家族」というものから生まれてきます。でもそのつながりの中から多くのものを得ることができる場合もあれば、多くを失ってしまう場合もある。チーム自体が崩壊してしまうことすら少なくありません。そして、そうした状況の一つ一つを、生まれてくる側が自由に選べるわけではない。そのことが現代社会のなかでも当然のこととしてあります。みんな、知っていることです。

では、家族のほかにチャンスはないのか。

今年の頭にこんな記事を書いたことを思い出します。

血のつながった家族が必ずしも「うまくいく」わけではないということ。そのとき、どうやったら、どんなものが、受け皿になれるのか。どんな関係性が、ある人の人生に豊かさを与えることができるのか。そのきっかけになりうるのか。

私たち人間には多様な家族のあり方があり得るし、家族以外の人々ができることもたくさんある、このことをむしろ困難ではなく可能性だと捉えることができるのではないかと私は思います。その可能性の受け皿は必ずしも血のつながった家族に限られる必要はないし、家族である必要もない。A$AP Rockyが歌うように、振り返って大事だったと肯定できる他人との関係性を私たちはいろいろなやり方でつくっていく必要があるし、つくっていくことができるはずだと私は考えています。

このときは記事のタイトルの通り「私たちが生きていくために必要な関係性にはまだ名前がない」と思っていました。

でも、今日川崎さんと話しているなかで、自分が最近気になっていた「親方」というキーワードが頭の中に浮かんできました。

それは、川崎さんに、

子育てと部下育て(マネジメント)とは同じように考えているんですか?

と質問したときに、

究極的には同じだと考えているよ。 

という答えをもらったときのことです。これまでなんとなしに考えてきたようなこととどこかでつながったような気がしました。そして、会が終わって、家までの帰り道を歩きながら、考えをめぐらせていました。

親方というのは、親ではありません。職業的な、経済的な関係性のなかに、ある種の非経済的な、家族的な関係性がまじっている。これを、現代に生きる自分たちは「古いもの」だと思っているような気がします。いまという時代が乗り越えつつある過去のものだと思っているような気がするんですね。

ただ、果たしてそう言い切るだけでいいのか。

この古さを乗り越えなければいけないように感じるのは、それがある種の硬直性、血のつながった家族と同様の閉鎖性、離脱不可能性を伴う非合理的な権力関係を想起させるからかもしれません。そして、実際、そうした負の力学は、親方-弟子という擬似的な親子関係のなかでおおいに働きうるものなのだとも思います。

だから、乗り越えなければいけないように感じる。「親方」という言葉の古めかしさもそことつながっているように思います。

ただ、それは血のつながった家族にもいろいろあるのと同じように、血のつながっていない関係性についても、そこで誰かの人生がぐぐっと後押しされるような、そんな場合もあるのだということを否定するものではないのではないか。

むしろ、このポジティブな可能性をこそ、いま、きちんと見るべきなのではないかと思いました。

営利企業というものは、営利というくらいなので、利益追求という一つの論理に貫かれている。そしてそこでの雇用契約というのは、自分ができることの対価として給料をもらうという関係なわけです。そこには家族的なもの、有用性の外側にある何らかの価値観が自然に鎮座するような場所はありません。

だから、そこには意思が必要なんです。親方であろうとする意思が。でなければ、そこに「親方」というチャンスは発生しえない。

測定しやすい何某かの数値の外側で、「こいつの面白いところを見つけてやろう」という意思が存在することこそが、親方-弟子関係を生み出すことができるのだと思います。

いまは「はまっていない」けれど、どこかに活躍できるきっかけや場所があるはずだろう、そしてそのときが来たらきっと自分が助けられるだろう、こういう信念。そういう信念が、誰かの個人的な意思が、もう一人の別の誰かにとって、誰かの弟子であるという「もう一つのチャンス」を生み出すことにつながるのではないでしょうか。

語弊があるように聞こえるかもしれないですが、この会話をするうちに、帰り道で考えをめぐらせるうちに、自分はこれまでに川崎さんが育ててきたたくさんの子どもたちのうちの一人なのだと、そう思いました。

チルドレンなのだと。とても腹落ちしました。チャンスをくれた人なんだと改めて感じることができました。

恩返しをしようと思わなくていい。そんなことを今の自分にできると思うな。不遜なことだ。次の世代に恩を送ればいい。

と川崎さんは言ってくれました。

これはフックアップだなと。自分の上司が最高レベルのフックアッパーだったんだということに改めて気づきました。だから、自分は川崎さんのことを尊敬していたんだなと。気づくのが遅かったですが、答えは近くにあったみたいです。

僕はフックアップ精神に火をつけたいし、フックアッパーを増やさないといけないと考えています。フックアッパーが増えれば、必然的に助かる人が増えるからです。

この時代、真剣に、「親方」という「もう一つのチャンス」の可能性について考えることが必要だとぼくは思っています。人が紡ぐ関係性のうち、働く場所で出会う関係性は多くの割合を占めます。そこで誰とどんな関係を結ぶことができるか。待遇や働きやすさといった概念からは漏れ出しているものがそこにあると思う。その部分をきちんと見つめる必要があるように思います。

でも、上司だけではない。教師でもいい。塾の先生でもいい。本当に、誰でも、いつでも、どこでもいいのだと思います。親方というもう一つのチャンスがたくさん散らばっている社会にできればいいのだと思います。スタディクーポンが生み出したい出会いも、子どもたちと大人たちとの、そういう出会いなのだと思います。

走り書きでだだーっと書いてきました。こういう文章はあとで読むとこっぱずかしくなる確率が90%以上だと思うのですが、勢いでアップしたいと思います。

そして、自分も誰かの親方であれるように、力をためて、がんばっていこうと思いました。

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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経済産業省、Googleなどを経て、現在はスマートニュースでNPO支援プログラム《ATLAS Program》のリーダーを務める。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。BAMPで「旅する啓蒙」連載中。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(後期フーコーの自由論)。1985年埼玉県生まれ。
Twitter @hirokim21
Facebook hiroki.mochizuki
 

本気で一つの始まりに賭けてみた話。スタディクーポンのこと。自分のこと。相談を受けてから、これまで。

こんにちは。望月です。今日、仲間とともに一つの新しいことを始めました。そのことについて、少し長めの文章を書きます。
 

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新しいことの名前。
 
親の所得が低くて、塾に通うことができない。高校受験の準備に全力で取り組みたくても、経済的な理由でそれが叶わない。
 
そんな中学3年生たちが日本中にいます。
 
彼らに対して、みんなの力で寄付を集めて、学習塾や家庭教師、通信教育などに使えるクーポンを届けよう。
 

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仲間たちとのそんな取り組みにつけた名前です。
 
 
例えば、手取り20万円前後で毎月3万円、4万円の塾代を支払っていく、その厳しさを想像してみてください。
 
高校受験の前ともなれば、模試、夏期講習、通常の塾費用に加えて追加で必要となる費用がさらに積み重なってきます。
 
貧困の手触りは、具体的な手取り収入、そこから家賃、食費、教育費、生きていくために必要な費用を一つずつ引いていくことで、「わかる」ことができます。
 
その引き算を通過することで、おなかの底の部分で、少しだけ、生活が貧しいということ、その意味を理解することができるのだと思います。
 

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自分の家はひとり親家庭でした。
 
相対的に言えば、貧しかったと思います。
 
でも、母親が踏ん張って教育の機会を与えてくれました。自分が望む全ての教育を受けさせてくれた。今思えばどうやってやりくりしたのか想像もつかないし、だからこそ本当に感謝の思いしかありません。
 
彼女にもらった機会のおかげで、今の自分がある。それは100%そうだと言える。
 
いま自分が、困っている人、弱っている誰かを支える人になりたい、そう思えていること、その可能性の根っこの部分に、母親のこの踏ん張りがあったことを本当に確信しています。
 
ただ、30も過ぎたこの歳になって思うこともあります。
 
この困難は、母親がたった一人で、自分の食費を削ってまで、背負わなければいけないものだったのか。
 
収入も少ないひとり親の母親にそこまでの負担を強いる、そんな社会で良かったのか。
 
そして、そうである社会を、そのまま、次の世代へと残していく。32歳にならんとする自分は、本当にそれで良いのか。
 
そんなことを思ったりしました。
 
 
今年の7月のことです。チャンス・フォー・チルドレンの今井 悠介さん、キズキの安田 祐輔さんが、スマートニュースまで会いにきてくれました。
 
今井さんが地道に続けてきたクーポンの事業があります。長い時間をかけて研ぎ澄ましてきたこの仕組みというものがある。
 

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彼らが思っていたこと、それはこの仕組みを必要とする子どもたちは日本中にもっともっといるはずだ、ということです。そのことを彼らは確信していました。
 
安田さんも知っていました。
 
経済的困窮とひきこもりや不登校の両方に苦しめられている子どもたちが数多くいること。そして、経済的困窮は、彼らを社会と再接続することをとても難しくすること。
 
そのことを彼らは知っていたのです。
 
クーポンを必要とする子どもたち、親たちは、日本中にいる。
 
でも、まだまだこの仕組みの必要性、そしてその効果を人々のあいだで十分に広めることは叶っていない。
 
子どもたちのためにもっともっと知ってもらわなければいけない。けれど、まだ、できていない。子どもたちのために、そのことを今やらなければならない。
 
「だから、望月さん、力を貸してほしい。」
 
今井さんも安田さんも、本気でそう言っていると思いました。そして、何よりも、彼らが広めようとしている仕組みはシンプルにとても素晴らしいものだと思いました。
 
だから、コミットしました。本気で関わったということです。
 
SmartNews ATLAS Programとしてこれまでで最大限の踏み込みをしました。
 
「子どもが平等に夢見れる社会を残そう」というプログラムのコンセプトは、いまこの取り組みに寄り添うことで体現できるのだと思いました。
 
メンバーの松岡宗嗣とともに、プロジェクト全体のデザイン、コピーライティング、様々な接点でのグラフィックやテキスティング、そして何よりも情報発信そのものの全体設計を本気でやりました。
 
考えに考え抜いて、丁寧に丁寧にデザインしました。
 
自分にできることは、彼らの思いと社会との接点をできるだけなめらかにすること。
 
そのことに、全神経を集中しました。
 
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「スタディクーポン」という言葉。
 
今日の朝まで、数時間前まで、Googleで検索してもそんな言葉はこの世の中に存在しませんでした。
 
いまは、この世の中に少しずつ、「スタディクーポン」が溢れ始めています。Googleにも、Twitterにも、テレビにも、新しい言葉が広がり始めています。
 

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そのプロセスに、「スタディクーポン」が当たり前になっていくプロセスに、ぜひ参加してほしいと思います。
 
誰でも、参加することができます。
 
この投稿をシェアすることで、参加することができます。
 
自分にできる範囲の寄付をすることで、参加することができます。
 
ぜひ、参加してみてください。社会は変えられるという感覚に、参加してみてください。
 
私は、私の会社とチームメイトを巻き込んで、参加しました。巻き込まれた人たちは、参加してくれました。この会社の一員であることを、本当に誇りに思いました。
 
これから先、もっと多くの人と、会ったこともない、でも確かにこの社会を共に生きている多くの人と、この感覚を共にしていけたらと思います。
 
社会は変えられるという感覚を、共にしていけたらと思います。
 
一緒に参加しましょう。変化に。始まりに。
 
スタディクーポン・イニシアティブ
望月優大
 
ーーーーー
クラウドファンディングのサイト、心を込めて、時間をかけて、つくりました。ぜひ読んでみてください。
 
工夫を、散りばめました。
 
お金がなくて塾に通えない中学生に、みんなの力で「スタディクーポン」を届けたい

 

ーーーーー

この記事は昨日10/12にFacebookで投稿した内容を再構成したものです。

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プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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経済産業省、Googleなどを経て、現在はスマートニュースでNPO支援プログラム《ATLAS Program》のリーダーを務める。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。BAMPで「旅する啓蒙」連載中。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(後期フーコーの自由論)。1985年埼玉県生まれ。
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