HIROKIM BLOG / 望月優大の日記

見えているものを見えるようにする。

僕が『複雑』に込めたもの。日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」をはじめます

こんにちは。望月優大です。今日12月1日は私の独立以外にもう一つお伝えしたいニュースがあります。色々重ねすぎて最近はあまり寝れませんでした・・・笑

なお、独立についてはこちらにまとめていますのでぜひご覧になってみてください。

ニュースというのはこちらです。

 

難民支援協会とウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」をはじめます。

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プレスリリース:
難民支援協会、日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン『ニッポン複雑紀行』をリリース。外部より望月優大氏が編集長として参画|ニュースリリース|難民支援協会の活動 − 認定NPO法人 難民支援協会 / Japan Association for Refugees
ウェブサイト:

ニッポン複雑紀行 presented by 認定NPO法人 難民支援協会

 

大事なことは3つです。これを覚えてください。

ニッポン複雑紀行は・・・

  1. 日本国内にやってきた難民の方を支援する団体である「認定NPO法人難民支援協会」による事業としてのウェブマガジンであること。
  2. コモンセンス望月が編集長に就任すること。
  3. 取り上げるテーマは「日本の移民文化・移民事情」であること。

この3つです。

さらっと読んでしまうと思うんですが、これ、本当に凄いことなんです。

 

NPOがメディアをやるということのハードル

まず一つ目に寄付など歳入への貢献が見えやすいいわゆる「ファンドレイジング」ではない情報発信にNPOが本腰を入れて取り組むということ。これ、やりたいと思っているNPOはたくさんあります。でもやっぱり踏み込めない、そういう団体が多いのが事実だと思います。

だって、すぐに寄付が増える訳ではない。認知啓発は新聞がやってくれる、ブロガーがやってくれる。自分が限られたリソースを使ってやる意味なんてあるんだろうか。自分たちは資金調達・ファンドレイジングに集中しよう。こういう風に思うのは不思議ではありません。

メディアをやるってスキルとか知識だけの問題ではなくて、それらももちろん大事なのですが、やはりマラソンであるし、気力と体力がみなぎっていないとできない。そして、そのマラソンを支える資金面での裏付けが必要なんです。支え続けるんだという意思が必要です。

メディアをやるということは、コミュニティをつくるということだと思うし、もっと言えば文化をつくるということだと思っています。そこを見据えて、最後に問われるのは「本当にやりたいの?」これだけだと思います。

 

最後に乗り越えるのは「やりたい」という意思

難民支援協会の広報部には田中さんと野津さんという女性がいるのですが、彼女たちはここが完全にはっきりしていて。「やりたいんだ」とそれだけは揺るがなかった。「メディアやるって簡単じゃないですよ、わかってますか?」って詰めてもそこは揺るがなかったです。

田中さんに至っては「一緒に複雑紀行をやりたさすぎたのか、夢に望月さんの実家に行くシーンが出てきました」とぶっ飛んだ発言をされていました。意思というのは、無意識の領域すら侵食していくわけです。

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田中さん

ただ、やはり予算はそんなに潤沢にあるわけではないのも事実です。営利企業でもオウンドメディアへの予算配分を正当化できていない企業はいくらでもあります。その中でNPOですから、よほど難しい。でも、ギリギリの予算を捻出してくださいました。自分もギリギリでお受けしています。本当にお互いギリギリの世界がここにあります笑

だから、読者のみなさん、応援してください笑。いや、質が低いのに応援してくださいとは言いませんよ。つまらなかったら大丈夫です。ただ、他のメディアよりちょっとだけ余計に愛を持って見てほしい。そうしたら、ちょっとでも面白いなとか引っかかりがあったら、いいねとかシェアとか自然にしてあげようという気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。奇跡のギリギリバランスで成り立っている、そのことを忘れないでいただけたら・・・笑

ウェブのデザインは良く言えばミニマム、悪く言えば物足りなく感じられるかもしれません。でも、そこにこのコンテクストと味わいを読み取ってもらえたらと思います。事務局長の吉山さんという男性の方がいらっしゃるんですが、事務局長直々にサイトを作ってくれました。そういう手弁当の情熱で出来上がっています。ミニマムだけど体温は確かにある。

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体温という言葉が好きなんですが、意思のことなんですよね。意思と必要性は違いますよ。必要でもやりたくないことってありますよね。やりたいことはやりたいことなんです。必要性だけから生まれてくるものではありません。

体温のある人間からのみ生まれてくるんです。「はじめたい」という意思にちょうどいい形を与えるのが編集長をお受けした自分の仕事だと思っています。はじめたいので。

 

「子どもの貧困」も「ローカル」もなかった時代があった

そんな時代があったんです。

いま「当たり前」のことがそうでない時代がありました。思い出せると思います。確かにあったんです。10年くらいかけて、その境界線を僕たちはまたいできている。多くの人は意識しないうちに。

でも、固有名を出すことはしませんが、「あえて」一つの問題、一つのカルチャーにコミットし、その存在をメインストリームへと押し広げようとしてきた人たちがきっといたんです。「子どもの貧困」でもなんでもそうです。自分たちはその人たちがうううーっと手を伸ばした先に立っていたんだと思います。そして、僕らのうちの何人かがその手を掴んだ。

ニッポン複雑紀行が焦点を当てるのは日本の移民文化・移民事情です。「在留外国人」という呼称で括られる人たち、彼らの数は年を追うごとに増えています。昨年末で238万人ですが、今年はもっと増えているのではないかと思います。 

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この数字そのものに「良い」も「悪い」もありません。ただ、どんどん個別の現場に『複雑』が入り込んできているのだろうとは想像します。街に、学校に、不動産屋に、コンビニに、工事現場に、色々なところにです。単純な当たり前が幻想となり、複雑な現実に少しずつ置き換わっていく。

その一つ一つをミクロな視点でまずは見てみよう。そして、できうるならば、「複雑なほうがもっといい」と高らかに言ってのけながら新しい当たり前へと更新していきたい。移民文化に対する真っ当な関心と、より多くを知った人たちによるリスペクトが重なっていく地点を見据えたい。

もちろん摩擦やネガティブなこともあるでしょう。そこから目を逸らそうとは思いません。きちんと見る必要がある。とはいえ理想というものを心のどこかにきちんと持っておきたいということです。

プレスリリースに編集長として寄せた言葉を紹介します。

ニッポン複雑紀行のスタートに寄せて

2005年、19歳のとき、生まれて初めて日本の外に出ました。パリ北駅のCD屋で、移民とその子孫たちが紡ぐフランス産のヒップホップアルバムを買い込みました。ラテン地区にあるベトナム料理屋で、絶品のフォーを食べました。移民の人々が集住するサンドニスタジアム近くの団地のそばで、粉々のガラス片と骨組になった電話ボックスの残骸を見ました。

2017年、東京で暮らしていて、あのときのことを思い出します。難民支援協会のように、この国の中で日常的に外国人の方たちと接し、その生活を支えてきたNPOだからこそ見えること、社会に対して発信できることがあるはずです。その知恵と外部の力を掛け合わせて、読者が移民文化や移民事情の現実に触れるきっかけとなるような記事を少しずつ丁寧につくっていけたらと思っています。 

こんな気持ちで、当たり前を少しずつ更新していけたらと思っています。ちっぽけな存在なんだから、ゆっくりで構わない。でも温度だけは失わないように。

 

僕が『複雑』に込めたもの

さて、改めてですが、このウェブマガジンは「ニッポン複雑紀行」と名付けました。ニッポン、複雑、紀行、どれも大切なのですが、どれが一番大事かと言えば『複雑』ですよ。これが一番大事。タグラインはこうです。

"ニッポンは複雑だ。複雑でいいし、複雑なほうがもっといい。"

言い切ってみました。だから、気に入っています。

 

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『複雑』ということで一つ思い出すことがあります。

Funky DLというイギリス出身の黒人ラッパーがいて、高校生のときからよく聴いていました。

なかでも好きだったのは “Simply 2 Complicated” という2001年の曲で

周りのいろんなやつらが人生についてイージーだとかシンプルだとか色々言ってくる。でも実際に生きてみるととんでもなく複雑じゃないか」

そんな内容のことをラップしています。

 

 

サビの最後でDLは

“If you don’t walk in my shoes, don’t tell me how it is”

とシャウトします。

「自分と同じ立場に立つのでないなら、他人のくせに人生がどうのこうのと言ってくるな」

という意味です。実はこのフレーズのもとになっていることわざがあって

”Don't judge a man until you have walked a mile in his boots.”

要は「他人の立場で勝手に裁くな」ということです。

知らない人ほど単純化しようとします。知らないものにレッテルを貼ったり、根拠のない噂で恐れたりします。だから、ニッポン複雑紀行は「ニッポンは複雑だ」と確認し続けるための小さな場所にしたいと思っています。

この社会のひだの一つ一つに分け入っていくことで、わかりやすいルーツや属性に還元しきれない小さな歴史を紡いでいけたらと思っています。 

 

ニッポンは複雑だ。複雑でいいし、複雑なほうがもっといい。 

 

他人の立場で勝手に裁かない。

当たり前は必ず誰かが更新していくんだ。

 

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ニッポン複雑紀行
日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン

  • 企画主催|認定NPO法人 難民支援協会
  • 編集長|望月優大(株式会社コモンセンス代表)
  • ロゴデザイン|中屋 辰平(グラフィックデザイナー)
  • 協力|ゴールドマン・サックス証券株式会社

 

1本目の記事は来週12月6日にお届けする予定です。

 

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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ライター・編集者。株式会社コモンセンス代表。日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。BAMPで「旅する啓蒙」連載中。経済産業省、Googleなどを経て、スマートニュースでNPO支援プログラム「ATLAS Program」のリーダーを務めたのち独立。低所得世帯の子どもたちに教育機会を届ける「スタディクーポン・イニシアティブ」にも参画し、クラウドファンディングで1000万円を超える寄付金を集める。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(地域文化研究専攻)。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。1985年生まれ。
Twitter @hirokim21 / Facebook hiroki.mochizuki / Instagram / NewsPicks / note
お仕事の依頼等 hiroki.mochizuki[a]cmmnsns.jp

スマートニュースを卒業します。独立してコモンセンスという会社をつくります

こんにちは。望月優大です。ご報告があり、少し長めのブログを書いていきます。

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(Photo by 松岡宗嗣)

 

スマートニュースを卒業します。

私は2017年11月末をもって、2014年から3年強在籍させていただいたスマートニュース株式会社を卒業し、12月1日に小さな自分の会社をつくって、そこを拠点に新しい取り組みを始めることに決めました。独立することに決めたということになります。

こちらは11月30日の夕方にお別れ会を行っていただいたときの写真です。そこでスマニューへの思いを述べさせていただく機会をいただいたのですが、思いがけずやや瞳が潤ってしまった後の集合写真なので、顔がぐしゃっとしています。そんなつもりではなかったのですが、涙腺が勝手に反応してしまいました。昔から泣き虫なんですよね。

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2017.11.30

スマニューをつくってくれた健さん・階生さんはじめ、スマニューの大切な仲間のみなさん、本当に本当にありがとうございました。自分の人生を変えてくれたチームであり、3年間という時間でした。

続いてこちらは同日24:30ごろにオフィスを去るときの写真です。最終出社日にも関わらず、一番遅くまで会社に居残ってしまいました。しかも、顔が猛烈に疲れています。頭もボサボサ。それには理由があって。

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スタディクーポン、1400万円超の寄付を集めることができました。

実は、この11月30日は、私がつくってリーダーを務めていたNPO支援プログラム「SmartNews ATLAS Program」の枠組みを通じて支援していた「スタディクーポン・イニシアティブ」という取り組み、その大型のクラウドファンディングの最終日だったんですね。

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スタディクーポン・イニシアティブ x 渋谷区(10/12文部科学省での発足記者会見の様子、私は右上に)

23:59までチームのみんなでクラウドファンディングを走り切り、解散した後に燃え尽きているのが上の写真になります。

最終的に731人の方から、総額1400万円以上の寄付をいただく、集めることができました。元々の目標額が1000万円の設定だったので大幅に目標を超えての達成をすることができてとても嬉しかったです。

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CAMPFIREのソーシャルグッドカテゴリーで史上最高の調達金額を大幅に更新したようです。

自分自身、そこまで裕福ではないひとり親家庭の出身だったので、この企画にはことさら思い入れを持って取り組みました。こちらの記事にもそのことは書いてあります。

 

これまでの経験の集大成として。

スタディクーポンのプロジェクトに対して自分が実際にどんな価値を提供できたかと考えていました。6つの価値に整理できるのではないかなと思ってまとめたのが以下の図になります。

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スタディクーポン・イニシアティブに提供した6つの価値

  1. チームビルディング/モチベーション
  2. コンセプトメイキング
  3. ネーミング 
  4. クリエイティブ
  5. クラウドファンディングLPの制作
  6. ローンチ後のコミュニケーション全般のデザイン

自分で言うのも大変おこがましいですが、プロジェクトの基礎になる部分をしっかり定義しつつ、それを具体的な形のあるものへとデザインすることで、チームの一人一人が共有できる土台づくりができたのではないかと思っています。

思いを持ったメンバーがそれぞれ全速力で走り抜くために必要な条件を片っ端から整えていくような、そういう作業だったと振り返って思います。

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色々な場所で働いてきました。

このスタディクーポンの支援という仕事は、「Google for Nonprofits」や「SmartNews ATLAS Program」でこれまで取り組んできたNPO支援という文脈だけではなく、経済産業省で働いた経験や、コミュニケーションやマーケティングに関わってきた経験、そして個人としてもブロガー・ライターとしての動きを地道に続けてきた経験、そのすべての積み重ねの集大成のような仕事だったと思っています。

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独立をする節目に自分の体温を乗せられる素晴らしい仕事と出会うことができて本当に良かったと思っています。 

 

チャンスをくれた変な人たち(aka 恩人)

この3年間、スマートニュースにいた期間の中で自分の人生が大きな変化を通過したと思っているのですが、やはり人との出会いが一番大切だったと思っています。

全員をここで列挙することはできないのですが、特に大事な出会いだったと思う人たちを3人(3組)紹介させてください。 

 

①健さん・階生さん(鈴木健・浜本階生)
"「自由にやる方がいい」ということを教えてくれた人"

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入社当初にサンフランシスコに行ったときの写真(2014年冬)。アプリアイコンも古いバージョン。

スマニューをつくったこの2人は相当に変な人たちです。仕事上の個別の場面で考えがぶつかることも何度もありました。

でも、自分がこの3年間自由演技をどんどんできたのは、やっぱりこの2人がいてこそ、この2人がつくった会社と文化があってこそだったと強く思っています。変な学校の変な校長先生のような、そんな2人がいたからこそ、自分もヘンテコなことにたくさん挑戦できた。そのことをとてもとても感謝しています。

学校と言えば、実は自分がスマニューに入社して最初に打診された仕事は「本棚をつくる」という仕事でした。今思い返してみてもだいぶぶっ飛んだ仕事だと思うのですが、出来上がったものがこちらになります。

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独立研究者の森田真生さん、クリエイティブ・ディレクターの小石祐介さん、大ベテランの編集者、そして社内の有志でこの本棚を作りました。血の通った選書を進めるために、森田さんと社員みんなで講演会や読書会を繰り返し、そのプロセスを記録した冊子まで制作しました。

スマニューでは本当に色々な仕事をしましたが、この会社らしい、印象に残っている仕事の一つです。変な仕事でしたが、とても楽しかったです。

 

②柿次郎さん(徳谷柿次郎)
"「楽しくやる方がいい」ということを教えてくれた人"

ジモコロ/BAMP編集長の柿次郎さんとは出会ってまだ2年くらいなのですが、とても大きな影響を受けている少し年上の先輩です。

Photo by 鶴と亀の小林くんでお送りします。 

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二人とも寝てる。

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柿次郎さん寝てる。

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自分寝てる。

それぞれ個性を持った仲間たちが、ジャンルを超えてお互いを支え合っていくようなビジョンだったり、ウェブコンテンツでも一つの作品のようにじっくり取り組む姿勢など、2年という時間のなかで教えてもらったこと、共感するポイントがたくさんあります。

文化への愛やこだわりを仕事に持ち込もうとする姿勢もとても近い気がします。これからも関わり合いの中で色々なことを一緒にやっていけたらいいなと思っています。
 

③そうし(松岡宗嗣)
"「チームでやる方がいい」ということを教えてくれた人"

そうしは元々ATLAS Programの支援先団体の大学生メンバーだったのですが、その後インターンとしてスマニューで働いてもらえるようになりました。

スタディクーポンを含むATLAS Programの様々な場面で、自分の「こんなことがしたい」というイメージを形にしてくれたり、ディスカッションを深めていくパートナーとしてとても大きな役割を果たしてくれました。

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スタディクーポン・イニシアティブはそうしと2人で支えました。

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ATLAS Program第2期の支援メンバー(松岡宗嗣、中井祥子、望月、紫原明子)

自分は細かいところにもこだわりが強いタイプなのですが、チームで分け合っていくことで全体としてできることが増えていくことも実感させてもらえたし、いいチームというのはこういうことなのかなということを理解させてくれたと思っています。ありがとう。

2年近い時間の中で、互いに多くのことを学ぶことができたのではないでしょうか。

 

「コモンセンス」 という会社をつくります。

未来について少し書きます。

私がつくる小さな会社の名前は「コモンセンス」と言います。直訳すると「共通感覚」ですね。好きなラッパーの名前でもありますし、アメリカ独立革命に繋がったトマス・ペインの有名な著書の名前でもあります。

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コモンセンスは「会社」というよりは「レーベル」のようなイメージでつくりました。今のところ自分しか所属していないわけなのですが笑、書き手、作り手に肩入れして一緒に育っていくような関係性を築いていきたいと考えています。

(何を言っているか抽象的でよくわからないと思うので、この部分は自分が色々やっていく中で感じていただけたらと思います。)

ロゴは中屋くん(中屋辰平)がデザインしてくれました。とても気に入っているので、スウェットやステッカーをつくろうと思っています。

"Use your common sense." のような言葉づかいがありますが、全ての知識をかき集めて「正しく判断する」ことが原理的に不可能であるなかで、それぞれのちっぽけな人間が日常の中でどうやって良いこととそうでないことを判断していくことができるか。この問いはとても重いと思っています。

政治哲学者のハンナ・アーレントにこんな言葉があります。

共通感覚を奪われた人間とは、所詮、推理することのできる、そして「結果を計算する」ことのできる動物以上のものではない ーー『人間の条件』

共通感覚とは何か?

これからの活動を通じて、考え続けていきたい問いだと思っています。

 

何をするのか?ーーー批評・編集・企画のハイブリッド

最後に、今後の仕事の一部をご紹介します。

何かを考える、話す、書く、編集する、面白いことやかっこいいことを企画する、といったことが基本になると思っています。ソーシャルセクターに限らず、色々な領域の方たちと面白い取り組みを一つずつつくっていけたらと思っています。

「望月と一緒にこんなことをしてみたい」ということがありましたら、ぜひご一報ください。

 

▶︎ 日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン『ニッポン複雑紀行』の編集長に就任します。

認定NPO法人難民支援協会の情報発信を編集の力でサポートすることで、『日本における「移民」』というテーマに関してじっくりコトコト記事をつくっていきます。自分以外の相性のいい外部ライターにも参加してもらえたらと思っています。

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こちらのロゴデザインも中屋くん(中屋辰平)にお願いしました。

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ウェブマガジン『ニッポン複雑紀行』企画の詳細についてはぜひこちらのプレスリリースをお読みください。

難民支援協会、日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン『ニッポン複雑紀行』をリリース。外部より望月優大氏が編集長として参画

 

(12/1 20:13追記)ブログを書いたのでぜひご覧ください。

 

▶︎ BAMPで「旅する啓蒙」の連載を継続します。他媒体での執筆も始めます。

連載「旅する啓蒙」お待たせしてしまっていますが、ウイグル自治区篇を完成させたのち、キプロス篇に突入できればと思っています。

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また、今後はより硬めの媒体でも、連載などの形で書き物を積み上げていければと考えています。

 

▶︎ inquire / soar チームと実験的なゼミ=学びの場を営んでいきます。

モリジュンヤさんが声をかけてくださり、若手や同年代のライター・編集者の方々と「すぐに役立たない」ことについて考える、話し合うためのゼミ形式の時間を継続的につくっていくという取り組みを始めています。

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▶︎ NHK「ニッポンのジレンマ2018元日SP」に出演します。

テーマは「根拠なき不安」を超えて、とのことです。討論型でしかも長尺の番組に出演するのは初めてですが、がんばってみます。

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今後やってみたいこと、やっていきたいこと

  • 本をきちんと書きたい/つくりたい。
  • ラジオなど継続的な対話の場所を持ちたい/つくりたい。 
  • 可能性を感じる組織や書き手、つくり手とともに試行錯誤していきたい。

時間の使い方がこれまでと大きく変えられるタイミングではあるので、新しい挑戦を色々としていきたいと思っています。 

 

だいぶ長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。これから新しいスタートになりますが、自分なりに楽しんでいけたらと思っています。ぜひ応援いただけたら嬉しいです。

 

▶︎今後の動きは個人のSNSなどで都度発信していきますので、よかったらそれぞれフォローをお願いします。

 

▶︎ご連絡やお仕事のご依頼はこちらまでお願いします。

hiroki.mochizuki@cmmnsns.jp

 

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頑張るぞー!!!

 

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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ライター・編集者。株式会社コモンセンス代表。日本の移民文化・移民事情を伝えるウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」編集長。BAMPで「旅する啓蒙」連載中。経済産業省、Googleなどを経て、スマートニュースでNPO支援プログラム「ATLAS Program」のリーダーを務めたのち独立。低所得世帯の子どもたちに教育機会を届ける「スタディクーポン・イニシアティブ」にも参画し、クラウドファンディングで1000万円を超える寄付金を集める。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(地域文化研究専攻)。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。1985年生まれ。
Twitter @hirokim21 / Facebook hiroki.mochizuki / Instagram / NewsPicks / note
お仕事の依頼等 hiroki.mochizuki[a]cmmnsns.jp

「親方」というもう一つのチャンスについて

先ほど上司の川崎さんとご飯に行って感動したので、そのことについて少しだけブログに残しておきたいと思って書く走り書きのメモです。川崎さん、ありがとうございました。最初に、忘れないうちに、感謝の気持ちを書いておきます。

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川崎さん

自分は昔から人と人との関係性やその種類、その微妙なあり方がとても気になっていて。人が豊かに暮らしたり、新しい世界を切り開く勇気を得たりするにあたって、どんな関係性が必要だろうか、そしてそれは現実に生きる人たちにどの程度足りていて、足りていないのだろうか、ということを考えて生きてきました。

お金だけじゃないだろうと。お金がいくらあってもそれだけですっくと立って生きられるわけではないだろう、そう思ってきました。何らかの種類の関係性、信頼、そういったものが必要だろう、そう思ってきたんですね。

もちろん誰もが血のつながった「家族」というものから生まれてきます。でもそのつながりの中から多くのものを得ることができる場合もあれば、多くを失ってしまう場合もある。チーム自体が崩壊してしまうことすら少なくありません。そして、そうした状況の一つ一つを、生まれてくる側が自由に選べるわけではない。そのことが現代社会のなかでも当然のこととしてあります。みんな、知っていることです。

では、家族のほかにチャンスはないのか。

今年の頭にこんな記事を書いたことを思い出します。

血のつながった家族が必ずしも「うまくいく」わけではないということ。そのとき、どうやったら、どんなものが、受け皿になれるのか。どんな関係性が、ある人の人生に豊かさを与えることができるのか。そのきっかけになりうるのか。

私たち人間には多様な家族のあり方があり得るし、家族以外の人々ができることもたくさんある、このことをむしろ困難ではなく可能性だと捉えることができるのではないかと私は思います。その可能性の受け皿は必ずしも血のつながった家族に限られる必要はないし、家族である必要もない。A$AP Rockyが歌うように、振り返って大事だったと肯定できる他人との関係性を私たちはいろいろなやり方でつくっていく必要があるし、つくっていくことができるはずだと私は考えています。

このときは記事のタイトルの通り「私たちが生きていくために必要な関係性にはまだ名前がない」と思っていました。

でも、今日川崎さんと話しているなかで、自分が最近気になっていた「親方」というキーワードが頭の中に浮かんできました。

それは、川崎さんに、

子育てと部下育て(マネジメント)とは同じように考えているんですか?

と質問したときに、

究極的には同じだと考えているよ。 

という答えをもらったときのことです。これまでなんとなしに考えてきたようなこととどこかでつながったような気がしました。そして、会が終わって、家までの帰り道を歩きながら、考えをめぐらせていました。

親方というのは、親ではありません。職業的な、経済的な関係性のなかに、ある種の非経済的な、家族的な関係性がまじっている。これを、現代に生きる自分たちは「古いもの」だと思っているような気がします。いまという時代が乗り越えつつある過去のものだと思っているような気がするんですね。

ただ、果たしてそう言い切るだけでいいのか。

この古さを乗り越えなければいけないように感じるのは、それがある種の硬直性、血のつながった家族と同様の閉鎖性、離脱不可能性を伴う非合理的な権力関係を想起させるからかもしれません。そして、実際、そうした負の力学は、親方-弟子という擬似的な親子関係のなかでおおいに働きうるものなのだとも思います。

だから、乗り越えなければいけないように感じる。「親方」という言葉の古めかしさもそことつながっているように思います。

ただ、それは血のつながった家族にもいろいろあるのと同じように、血のつながっていない関係性についても、そこで誰かの人生がぐぐっと後押しされるような、そんな場合もあるのだということを否定するものではないのではないか。

むしろ、このポジティブな可能性をこそ、いま、きちんと見るべきなのではないかと思いました。

営利企業というものは、営利というくらいなので、利益追求という一つの論理に貫かれている。そしてそこでの雇用契約というのは、自分ができることの対価として給料をもらうという関係なわけです。そこには家族的なもの、有用性の外側にある何らかの価値観が自然に鎮座するような場所はありません。

だから、そこには意思が必要なんです。親方であろうとする意思が。でなければ、そこに「親方」というチャンスは発生しえない。

測定しやすい何某かの数値の外側で、「こいつの面白いところを見つけてやろう」という意思が存在することこそが、親方-弟子関係を生み出すことができるのだと思います。

いまは「はまっていない」けれど、どこかに活躍できるきっかけや場所があるはずだろう、そしてそのときが来たらきっと自分が助けられるだろう、こういう信念。そういう信念が、誰かの個人的な意思が、もう一人の別の誰かにとって、誰かの弟子であるという「もう一つのチャンス」を生み出すことにつながるのではないでしょうか。

語弊があるように聞こえるかもしれないですが、この会話をするうちに、帰り道で考えをめぐらせるうちに、自分はこれまでに川崎さんが育ててきたたくさんの子どもたちのうちの一人なのだと、そう思いました。

チルドレンなのだと。とても腹落ちしました。チャンスをくれた人なんだと改めて感じることができました。

恩返しをしようと思わなくていい。そんなことを今の自分にできると思うな。不遜なことだ。次の世代に恩を送ればいい。

と川崎さんは言ってくれました。

これはフックアップだなと。自分の上司が最高レベルのフックアッパーだったんだということに改めて気づきました。だから、自分は川崎さんのことを尊敬していたんだなと。気づくのが遅かったですが、答えは近くにあったみたいです。

僕はフックアップ精神に火をつけたいし、フックアッパーを増やさないといけないと考えています。フックアッパーが増えれば、必然的に助かる人が増えるからです。

この時代、真剣に、「親方」という「もう一つのチャンス」の可能性について考えることが必要だとぼくは思っています。人が紡ぐ関係性のうち、働く場所で出会う関係性は多くの割合を占めます。そこで誰とどんな関係を結ぶことができるか。待遇や働きやすさといった概念からは漏れ出しているものがそこにあると思う。その部分をきちんと見つめる必要があるように思います。

でも、上司だけではない。教師でもいい。塾の先生でもいい。本当に、誰でも、いつでも、どこでもいいのだと思います。親方というもう一つのチャンスがたくさん散らばっている社会にできればいいのだと思います。スタディクーポンが生み出したい出会いも、子どもたちと大人たちとの、そういう出会いなのだと思います。

走り書きでだだーっと書いてきました。こういう文章はあとで読むとこっぱずかしくなる確率が90%以上だと思うのですが、勢いでアップしたいと思います。

そして、自分も誰かの親方であれるように、力をためて、がんばっていこうと思いました。

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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経済産業省、Googleなどを経て、現在はスマートニュースでNPO支援プログラム《ATLAS Program》のリーダーを務める。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。BAMPで「旅する啓蒙」連載中。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(後期フーコーの自由論)。1985年埼玉県生まれ。
Twitter @hirokim21
Facebook hiroki.mochizuki
 

本気で一つの始まりに賭けてみた話。スタディクーポンのこと。自分のこと。相談を受けてから、これまで。

こんにちは。望月です。今日、仲間とともに一つの新しいことを始めました。そのことについて、少し長めの文章を書きます。
 

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新しいことの名前。
 
親の所得が低くて、塾に通うことができない。高校受験の準備に全力で取り組みたくても、経済的な理由でそれが叶わない。
 
そんな中学3年生たちが日本中にいます。
 
彼らに対して、みんなの力で寄付を集めて、学習塾や家庭教師、通信教育などに使えるクーポンを届けよう。
 

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仲間たちとのそんな取り組みにつけた名前です。
 
 
例えば、手取り20万円前後で毎月3万円、4万円の塾代を支払っていく、その厳しさを想像してみてください。
 
高校受験の前ともなれば、模試、夏期講習、通常の塾費用に加えて追加で必要となる費用がさらに積み重なってきます。
 
貧困の手触りは、具体的な手取り収入、そこから家賃、食費、教育費、生きていくために必要な費用を一つずつ引いていくことで、「わかる」ことができます。
 
その引き算を通過することで、おなかの底の部分で、少しだけ、生活が貧しいということ、その意味を理解することができるのだと思います。
 

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自分の家はひとり親家庭でした。
 
相対的に言えば、貧しかったと思います。
 
でも、母親が踏ん張って教育の機会を与えてくれました。自分が望む全ての教育を受けさせてくれた。今思えばどうやってやりくりしたのか想像もつかないし、だからこそ本当に感謝の思いしかありません。
 
彼女にもらった機会のおかげで、今の自分がある。それは100%そうだと言える。
 
いま自分が、困っている人、弱っている誰かを支える人になりたい、そう思えていること、その可能性の根っこの部分に、母親のこの踏ん張りがあったことを本当に確信しています。
 
ただ、30も過ぎたこの歳になって思うこともあります。
 
この困難は、母親がたった一人で、自分の食費を削ってまで、背負わなければいけないものだったのか。
 
収入も少ないひとり親の母親にそこまでの負担を強いる、そんな社会で良かったのか。
 
そして、そうである社会を、そのまま、次の世代へと残していく。32歳にならんとする自分は、本当にそれで良いのか。
 
そんなことを思ったりしました。
 
 
今年の7月のことです。チャンス・フォー・チルドレンの今井 悠介さん、キズキの安田 祐輔さんが、スマートニュースまで会いにきてくれました。
 
今井さんが地道に続けてきたクーポンの事業があります。長い時間をかけて研ぎ澄ましてきたこの仕組みというものがある。
 

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彼らが思っていたこと、それはこの仕組みを必要とする子どもたちは日本中にもっともっといるはずだ、ということです。そのことを彼らは確信していました。
 
安田さんも知っていました。
 
経済的困窮とひきこもりや不登校の両方に苦しめられている子どもたちが数多くいること。そして、経済的困窮は、彼らを社会と再接続することをとても難しくすること。
 
そのことを彼らは知っていたのです。
 
クーポンを必要とする子どもたち、親たちは、日本中にいる。
 
でも、まだまだこの仕組みの必要性、そしてその効果を人々のあいだで十分に広めることは叶っていない。
 
子どもたちのためにもっともっと知ってもらわなければいけない。けれど、まだ、できていない。子どもたちのために、そのことを今やらなければならない。
 
「だから、望月さん、力を貸してほしい。」
 
今井さんも安田さんも、本気でそう言っていると思いました。そして、何よりも、彼らが広めようとしている仕組みはシンプルにとても素晴らしいものだと思いました。
 
だから、コミットしました。本気で関わったということです。
 
SmartNews ATLAS Programとしてこれまでで最大限の踏み込みをしました。
 
「子どもが平等に夢見れる社会を残そう」というプログラムのコンセプトは、いまこの取り組みに寄り添うことで体現できるのだと思いました。
 
メンバーの松岡宗嗣とともに、プロジェクト全体のデザイン、コピーライティング、様々な接点でのグラフィックやテキスティング、そして何よりも情報発信そのものの全体設計を本気でやりました。
 
考えに考え抜いて、丁寧に丁寧にデザインしました。
 
自分にできることは、彼らの思いと社会との接点をできるだけなめらかにすること。
 
そのことに、全神経を集中しました。
 
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「スタディクーポン」という言葉。
 
今日の朝まで、数時間前まで、Googleで検索してもそんな言葉はこの世の中に存在しませんでした。
 
いまは、この世の中に少しずつ、「スタディクーポン」が溢れ始めています。Googleにも、Twitterにも、テレビにも、新しい言葉が広がり始めています。
 

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そのプロセスに、「スタディクーポン」が当たり前になっていくプロセスに、ぜひ参加してほしいと思います。
 
誰でも、参加することができます。
 
この投稿をシェアすることで、参加することができます。
 
自分にできる範囲の寄付をすることで、参加することができます。
 
ぜひ、参加してみてください。社会は変えられるという感覚に、参加してみてください。
 
私は、私の会社とチームメイトを巻き込んで、参加しました。巻き込まれた人たちは、参加してくれました。この会社の一員であることを、本当に誇りに思いました。
 
これから先、もっと多くの人と、会ったこともない、でも確かにこの社会を共に生きている多くの人と、この感覚を共にしていけたらと思います。
 
社会は変えられるという感覚を、共にしていけたらと思います。
 
一緒に参加しましょう。変化に。始まりに。
 
スタディクーポン・イニシアティブ
望月優大
 
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クラウドファンディングのサイト、心を込めて、時間をかけて、つくりました。ぜひ読んでみてください。
 
工夫を、散りばめました。
 
お金がなくて塾に通えない中学生に、みんなの力で「スタディクーポン」を届けたい

 

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この記事は昨日10/12にFacebookで投稿した内容を再構成したものです。

https://www.facebook.com/hiroki.mochizuki/posts/10101573520299511

 

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小さな変化に、参加しましょう。

 

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

f:id:hirokim21:20160904190326j:image
経済産業省、Googleなどを経て、現在はスマートニュースでNPO支援プログラム《ATLAS Program》のリーダーを務める。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。BAMPで「旅する啓蒙」連載中。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(後期フーコーの自由論)。1985年埼玉県生まれ。
Twitter @hirokim21
Facebook hiroki.mochizuki

 

『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々』(ジョーン・C・ウィリアムズ)

とても面白く読んだ。著者はアメリカ人全体を所得でざっくり3つに分類する。エリート、ワーキングクラス、貧困層、この3つ。

基本的に彼女が話しているのは階級(class)や階級文化(class culture)のことで、ワーキングクラス(白人が多い)の状況とそれに紐づく一般的な感情や考えを理解しよう、そして共生していく道を探ろうという趣旨になっている。

アメリカを動かす『ホワイト・ワーキング・クラス』という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える

アメリカを動かす『ホワイト・ワーキング・クラス』という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える"真・中間層"の実体

  • 作者: ジョーン・C・ウィリアムズ,山田美明,井上大剛
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/08/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

言い換えれば、それは貧困層やマイノリティのほうばかりを見て、真ん中の層を真剣に見てこなかったリベラル勢への(自己)批判としての意味合いを帯びる。文中では、著者自身が一流大学の白人の女性教授として、「エリート」に属していることを意識しながら書いていることを示している。

f:id:hirokim21:20170926120712j:plain所得の中央値で3つの階級(class)に分類を行っている。

ワーキングクラスの人々が何を大切にし、何に不安を感じ、エリートのどんな生き方を侮蔑し、貧困層のどんな振る舞いに怒っているのか、理解せずに彼らを馬鹿にしたり批判したりしてきたのではないかと、自身も属する(そう分類される)リベラルエリートに対してのそうした問いかけをこの本は行っている。自分たちの「よい文化」を「悪い文化」をもった人々に押し付けようとするな、そういうメッセージとも取れる。

専門職階級にとってもワーキング・クラスにとっても、階級文化の隔たりを埋めるのは難しい。その隔たりを埋めるにはまず、エリートの生活・思考・行動様式を「よい趣味」として認識するのではなく、それも一つの様式でしかないと認識することだ。(62頁)

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エリートの潜在的な尊大さ、利他的な振る舞いを身にまといつつわかりやすい弱者以外を敗者として片付けてしまう精神性、そういった構造的な問題のありかを、この本は指し示している。そして、著者がこの状況について感じているのは、それが倫理的に正しくないと同時に民主主義の危機でもあるということだ。

話は単純だ。「大学を卒業していない全国民の三分の二はよい人生を送れない」と誰もが思っていることに、ワーキング・クラスは気づいている。しかもエリートは、他のグループには平等な立場を約束しておきながら、「地方のキリスト教原理主義者は救いようがないほど頑固だ」などと傲慢にも言い放つ。白人のワーキング・クラスが世の中から疎外されていると感じるのも当然だろう。苦しい生活を送っている白人たちは、「政治的公正」への批判を通して、裕福な白人たちを利口ぶっていると攻撃する。こんな状況を見て、それでも何の問題もないと思う人がいるのなら、どうぞこれまでどおりのやり方を続けていただきたい。(220-221頁)

世界を見渡したとき、この危機がアメリカだけの話だとは到底思えなかった。

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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慶應義塾大学法学部政治学科、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(ミシェル・フーコーの統治性論/新自由主義論)。経済産業省、Googleなどを経て、現在はIT企業でNPO支援等を担当。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。1985年埼玉県生まれ。
Twitter @hirokim21
Facebook hiroki.mochizuki
 

関連エントリ

3つの薬物中毒に侵された街(『ローサは密告された』ブリランテ・メンドーサ)

もしまだ観ていなかったらこの映画を観てほしい。きっと圧倒されるはずだから。

ブリランテ・メンドーサ監督の『ローサは密告された』はフィリピンの日常に深く根付いた麻薬と人々との関わりを描く。登場人物がすべて実在するかのように感じられるほどにリアルだが、フィクション映画だ。

この映画を観ると、マニラの底の底まで一気に連れて行かれる。現地をふらっと訪れてもこの深さまで入れるはずもないし入るべきでもない。リアルなフィクション映画にしかなしえないことが、2時間弱の映像のあちこちに埋め込まれている。

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昨年のドゥテルテ大統領の就任によって、フィリピンの麻薬事情はより多くの人の知るところとなった。調べてみると彼の「麻薬撲滅戦争」で昨日も多くの死者が出たようだ。

フィリピン警察の麻薬摘発で32人死亡 1日で過去最多 - BBCニュース

この映画の構想自体は氏の大統領就任の前にあり、ドゥテルテを人々が呼び寄せる理由となった現実の一旦がここに映っていると捉えることもできるだろう。

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劇中「アイス」と呼ばれる覚せい剤がこの映画の主役である。

貧しいスラムの一角でキヨスクのような店を営む主人公のローサは夫のネストールと覚せい剤を販売するビジネスに手を染めている。彼らは販売ルートの末端の一つであり、定期的にバイクで訪れるジャマールからアイスを仕入れ、街の人々に売っている。彼らもその一部を自ら利用している。街を歩くローサにどこからともなく「アイスはないか」という声が聞こえてくる。

彼らには4人の子どもがいる。男と女が2人ずつ。通りに面した店の奥のスペースと2階で暮らしている。湿気がものすごく、洗ったTシャツはなかなか乾かない。夕食のために近くの屋台で焼き魚などを買う。同じ屋台で小分けのビニール袋に詰められたご飯を5つ大鍋から取り出して買う。それを持ち帰ってテーブルに広げると家族が集まる。

血のつながりはないものの長い付き合いがありそうなボンボンという名の青年が家に入ってくる。薬が切れたのか、ローサに対して執拗にアイスをねだる。ローサは最初は断るが、何度もねだり続けるボンボンに根負けして棚の奥に隠してあるアイスを一つだけ渡す。渡して帰るかと思いきや追加で小遣いまでねだられる。ローサはポケットから小銭を渡す。

後になってわかるのだが、彼は麻薬所持で警察につかまる。そして、警察から釈放されるため、警察にローサを売る。雨の夜、警察が大挙してローサの店を訪れる。

・・・・・

ここまでが、この映画の舞台設定である。逮捕されたローサたちは、警察署の奥にある部屋でほかの売人の密告や高額の現金を要求される。そして、親たちの釈放を求める子どもたちが金策のために町中を走り回るのだが、その詳細はぜひ映画を観てほしい。

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手持ちカメラの躍動的な映像で一つの時間をいくつもの異なる場所から切り取りながら、ひどく日常的で、それゆえとても力強いラストシーンにいたるまで一直線につながっていく。ラストのあと、自分が震えていることがわかる。

・・・・・

最後にもう少し。なぜこの街では人々が麻薬をやめることができないのかということについて言葉を継いでおきたい。

この街には3つの薬物中毒がある。快楽への中毒、金への中毒、腐敗への中毒だ。

快楽への中毒は一番わかりやすい。アイスの効き目に対する中毒ということである。ローサからアイスを買っているスラムの庶民がこの中毒に侵されている。

金への中毒は、アイスの売上に生活が依存するということである。この中毒がスラムでアイスを売るローサのような末端の売人たちを蝕んでいく。純粋な貧困状況のなかで、ほかの確固たる生活手段が確保できなければ、薬物販売から得られる利益を簡単に捨て去ることができない。

そして、この街の最も深いレイヤーを蝕んでいるのが腐敗への中毒だ。それは、違法な薬物取引を取り締まるはずの警察組織そのものが深く侵されている中毒である。彼らは、密室での暴力を背景に、逮捕した売人からドラッグの売上である現金とドラッグそのものを押収する。加えて、警察署からの釈放と引き換えにさらなる現金を用意させる。

このようなプロセスののちに、腐敗した警察組織は売人たちから奪った現金やドラッグを私的な仲間内の論理で分配する。現金を分け合うだけでなく、売人を通じて押収した薬物を今一度市場に還流させ、その取引からさらなる現金を得る。こうした腐敗のルーティンから得られるブラックマネーに警察組織が芯から蝕まれている。アイスは再び人々の元へと戻っていく。

この映画を観てわかることは、末端の売人や薬物利用者をどれだけ殺しても根本的な解決には決してならないということだ。最も深いレイヤーにある暴力の支配、警察機構の腐敗、法の支配からの逸脱に手を入れない限り、蔓延する貧困状況を背景に薬物への依存は再生産され続けるのだろう。

街の構造そのものが腐敗への中毒を頂点とする薬物中毒に侵されている。密告も、暴力も、すべてその一部としてある。

 

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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慶應義塾大学法学部政治学科、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(ミシェル・フーコーの統治性論/新自由主義論)。経済産業省、Googleなどを経て、現在はIT企業でNPO支援等を担当。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。1985年埼玉県生まれ。
Twitter @hirokim21
Facebook hiroki.mochizuki
 

私は植松のように考えない。他人を不幸にしたからと言って殺されて良い人間などいない。

今日、7月26日で相模原障害者施設殺傷事件から丸1年になる。 

障害者「幸せ奪う存在」=トランプ氏演説契機に-手紙で植松被告・相模原施設襲撃:時事ドットコム

【独自】45人殺傷、植松被告からの手紙|日テレNEWS24

最近になって植松聖被告からマスコミ各社あてに手紙が届いたようだ。事件から1年というタイミングを意識したのだろう。上記記事よりそれぞれ引用する。

時事

植松被告は手紙の冒頭、「不幸がまん延している世界を変えることができればと考えました」と記した。重度・重複障害者を「人の幸せを奪い、不幸をばらまく存在」だと主張し、「面倒な世話に追われる人はたくさんいる」「命を無条件で救うことが人の幸せを増やすとは考えられない」と訴えた。

安楽死の対象の判断基準として、「意思疎通が取れる」ことを挙げた。植松被告は襲撃時、居合わせた職員を連れ回して「この入所者は話せるのか」と聞きだそうとしていたことが分かっており、障害の程度を確認し、殺害するかどうかを決めていた可能性がある。

日テレ

■「私は意思疎通がとれない人間を安楽死させるべきだと考えております」「重度・重複障害者を養うと莫大なお金と時間が奪われます」

■「人の心を失っている人間を私は心失者と呼びます」「最低限度の自立ができない人間を支援することは自然の法則に反する行為です」

■「私は支援をする中で嫌な思いをしたことはありますが、それが仕事でしたので大した負担ではございません。しかし、3年間勤務することで、彼らが不幸の元である確信を持つことができました」

■「責任能力の無い人間は、罪を償うことはできません。しかし、それは罪が軽くなる理由になるはずもなく、心の無い者は即死刑にすべきだと考えております。」 

人の考えは簡単には変わらない。

「意思疎通がとれない人間」は「不幸の元」であり、そうであることは彼らが生得的に犯した「罪」であり、加えて彼らは「責任能力」をもたないがゆえにその罪を「償う」ことができず、それゆえ彼らは「即死刑にすべき」だ、植松はいまもそう考えている。

そして、植松はその死刑を「安楽死の法制化」という形で公的に承認することを求め、その法制化がなされる前に私刑という形をとって彼が罪人だとみなす人々を殺害した。彼は自らの振る舞い、自らの行いをそう理解している。

必要だと思うのであえて確認しておくが、植松は当時もいまも確信犯だ。

「社会的に殺されて然るべき人とそうでない人」の境界線を揺るがしたい。「意思疎通」の有無で線を引き、あちら側に認定された人の命が奪われることを公的に承認したい、そう彼は欲望しているのだ。

彼に対して、そして彼が抱いた欲望に対して、私が言っておくべきだと考えることはそれほど多くはない。

私は植松のように考えない。

他人を不幸にしたからと言って殺されて良い人間などいない。人の生き死には他人に対する貢献や迷惑の多寡によって決められてよいものでは断じてない。

誤解のないように書いておくが、私は障害をもった人間が他人を幸せにするか不幸にするか、そんな答えも意味もない論点に入り込むつもりはまったくない。

どんな人間でも、障害をもっていてもいなくても、人を不幸にする、人に迷惑をかける、生きていくために金がかかる、他人の時間を奪う、そんな理由でその生存の停止を、その生命の殺害を公的に認められる存在があって良いはずがない。

私が言いたいのは単にその程度のことである。

そして、もしこの社会に私のように考える人が数多くいるとすれば、それは私たちが、私たち自身が、そうであることを選んできたからだ。集合的に、一人一人が、その選択をつないできたのである。だからこそ、今の社会が、今の社会のように、あるのだ。

このことこそがもっとも大切なことである。守りたいルール、モラルがあるのであれば、私たちはそのルールやモラルと一体であることを自ら選び続けなければならない。植松のように考えないのであれば、そのことを、私たち自身が不断に選び続けなければいけないのである。

事件直後、ネット上でさまざまな反応を目にしたときのザラザラとした感覚を私はいまも鮮明に覚えている。人の考えは簡単には変わらない。だから、短くてもはっきりと、自分の考えをここに書いておきたかった。

プロフィール

望月優大(もちづきひろき) 

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慶應義塾大学法学部政治学科、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(ミシェル・フーコーの統治性論/新自由主義論)。経済産業省、Googleなどを経て、現在はIT企業でNPO支援等を担当。関心領域は社会問題、社会政策、政治文化、民主主義など。趣味は旅、カレー、ヒップホップ。1985年埼玉県生まれ。
Twitter @hirokim21
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