望月優大のブログ

見えているものを見えるようにする。

大人になったら。大人になっても。

今日は成人の日ですね。子どもが大人に変わる通過点。大人になったら何が変わりますかね。何が変わったかな。少し、考えてみました。 大人になったら学校に行かない。 大人の特徴のひとつは学校に行かないということですよね。当たり前だけど、大きな違いで…

すべての若者たちへ。ミシェル・オバマ最後のメッセージ。

ミシェル・オバマ大統領夫人の最後のスピーチがとても素晴らしかったので、その後半部分、若者たちへのメッセージの部分を翻訳してご紹介します。舞台は1/6にホワイトハウスで行われた全米スクールカウンセラー・オブ・ザ・イヤーの授賞式です。英語全文はこ…

赤ちゃん縁組について知っておいてほしいこと

今朝こんなニュースが出ていました。 赤ちゃんとネットで特別養子縁組 「命を商品化」批判も:朝日新聞デジタル インターネット上でのかんたんな手続きで、赤ちゃんとの特別養子縁組を仲介するNPO法人がある。大阪市浪速区の「全国おやこ福祉支援センター…

「ラストベルトの反乱」という神話。白人労働者たちがトランプに寝返ったというのは本当か。

Slateに「ラストベルトの反乱という神話」という記事があがっていました。面白い記事だったので内容を紹介します。著者は南カリフォルニア大学法学部の教授とヨーク大学博士課程の学生の二人です。 The myth of the Rust Belt revolt. トランプが勝った理由…

7歳の少女バナ・アラベドによるツイート。シリア政府軍攻囲下にあるアレッポ東部の状況。

アレッポはダマスカスに次ぐシリア第二の都市であり、シリア内戦で最も大きなダメージを受けた場所の一つでもある。 アレッポは現在東西に分断されており、西側をシリア政府が、そして東側を反政府勢力が支配している。アレッポ東部はシリア政府が支配する領…

トルコというダムは決壊するのか

いまトルコについて考えることは本質的なことである。 トルコについて考える経験を通じて、自由民主主義を奉じる先進諸国に生きる人々は、自分たちの暮らしがどんな基盤に拠って立っているのかを理解する。それはひどく脆弱な基盤であり、少しの変化で動揺し…

ドナルド・トランプの勝利と「新しい世界」について

先日のアメリカ大統領選でドナルド・トランプが勝利したという出来事について、アメリカにおける人種・エスニシティの問題、そして移民問題という視点から振り返ってみたいと思います。 そうするのは、それらの問題がこの選挙において最も根本的であると私が…

ダライ・ラマ「私たちはみな必要とされることを必要としている」

数日前にダライ・ラマの寄稿記事がニューヨーク・タイムズ紙に載っていて、それがとても示唆深い内容だったので記事の一部を翻訳して紹介できればと思います。興味を持たれた方はぜひこちらのリンク先で全文を読んでみてください。 Dalai Lama: Behind Our A…

「日本が直面する『降格する貧困』」TOKYO FM「TIME LINE」出演時のコメント。

11/3にTOKYO FMの「TIME LINE」という番組に10分ほど出演させていただきました。先日のブログ記事で書いた内容に関連し、「日本が直面する『降格する貧困』」というお題で番組パーソナリティをされているちきりんさんからの質問にお答えするという内容でした…

共産主義下チェコスロバキアにおける恐怖のメカニズムとその克服。『ザ・ティーチャー』ヤン・フジェベイク監督が語ったこと

東京国際映画祭(TIFF)2016が10/25~11/3に行われていました。今日はその最終日。これまでどの映画も観に行けていなかったので、何か観たいと思っていたところ16時からチェコのヤン・フジェベイク(Jan Hřebejk)監督の『ザ・ティーチャー / The Teacher / U…

金子良事『日本の賃金を歴史から考える』を読んで。

金子良事『日本の賃金を歴史から考える』を読了。評判通り非常に勉強になった。 日本の賃金を歴史から考える 作者: 金子良事 出版社/メーカー: 旬報社 発売日: 2013/11/01 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (6件) を見る 現在の社会不…

日本の貧困は「降格する貧困」に近づいている。セルジュ・ポーガム『貧困の基本形態』講演から。

「はしごの下にいるんだよ。それ以外におれたちが誰なのかをはっきりさせる言葉があるのか。おれたちははしごの下にいて、食うや食わず、それだけさ。おれたちのための言葉なんてない。はしごの下には工員がいて……やがて上に上がっていく。でも、おれたちは…

児童虐待問題について福祉専門職の後輩が教えてくれたこと

昨日の朝こちらの記事を読んで何ともいたたまれない気持ちになり、「何度も保護できるチャンスがあっても保護できなかった。子どもを社会で育てるってどういうことだろうか。」というコメントを添えて投稿しました。 「バイバイ」笑顔の幼子、母は橋から落と…

組織に潰されないための離脱・発言・忠誠

厚労省から過労死白書が発表された。 過労死等防止対策白書 |厚生労働省 長時間労働に耐えられなくて、上司や同僚に会うのがいやで、勤め先のビルを見るのがいやで、そのために精神を壊したり、命を絶ったりする人の数が少しでも減ってほしいと心の底から思…

「性器の傷跡を見ればどのグループの仕業かわかる」デニ・ムクウェゲ医師がコンゴの紛争資源と組織的性暴力について語ったこと

「性器の傷跡を見ればどのグループの仕業かわかる」 コンゴのデニ・ムクウェゲ医師の講演を聞いて、この言葉が今も頭に残っています。その背景にどういう意味、そして社会的な構造があるか、自分に理解できた範囲で共有できればと思います。 デニ・ムクウェ…

「難民は気持ちの悪い害虫だ」とドイツの政治家は言った。

ニューヨークで難民サミットが行われたという。 冷戦が終わって世界が平和になるかと思えた時期があった。それから25年以上が経ち、内戦や紛争で住む場所を離れる人の数が6500万人まで急増する人道危機の時代を私たちは生きている。 難民受け入れに取り組ん…

世界報道写真展2016が素晴らしかった

世界報道写真展2016に行きました。恵比寿の東京都写真美術館で10/23までやっています。 「世界報道写真展」は1955年にオランダのアムステルダムで、世界報道写真財団が発足したことにより、翌年から始まったドキュメンタリー、報道写真の展覧会です。毎年、1…

民主主義の達成における公的な立論の役割(A・セン『インドから考える』より)

アマルティア・センの新刊を読んでいて、自分の様々な行為に骨組みを与えてくれるような文章があったので、簡単に触れたいと思います。 インドから考える 子どもたちが微笑む世界へ 作者: アマルティア・セン,山形浩生 出版社/メーカー: エヌティティ出版 発…

情報発信主体としてのNPOのポテンシャル

細々とですがNPO支援のようなことをやっている身として、いつも思っていることを書いてみます。 NPOの方は現場での活動だけでなく、対外的な広報活動についても力を入れて行っていることが多いと思います。そのために、自分たちが関わる社会問題、その問題に…

天皇と国民とメディア

天皇については、日本国憲法の第1条にこう書かれている。 第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。 この内容に関連して、今上天皇が昨日のビデオ映像で以下のように語られていた。 …

『シン・ゴジラ』の気持ちよさについて(追記あり)

『シン・ゴジラ』を観てきたので感想を書きたい。『シン・ゴジラ』という作品について何かを書くというよりは、『シン・ゴジラ』というこの作品が大ヒットしており、一部の人々を強烈に熱狂させていることについて書くといったほうが正しいかもしれない。 ち…

自分ではない誰かの人生のために。#ジモコロ熊本復興ツアー に参加して。

自慢の友だちについて書きたいと思います。3人います。本当はもっともっとたくさんいるんですが、まずは3人、この3人を紹介させてください。友だちであることを誇りに思うような、そんな3人です。 田村祥宏くん(EXIT FILM) 徳谷柿次郎くん(ジモコロ)…

少年院訪問記

先日、茨城農芸学院という第1種少年院のスタディツアーに参加させていただいた。風化してしまう前に思考のメモ書きを残しておきたかった。 貴重な機会をつくってくださった育て上げネットの工藤代表、茨城農芸学院の小山院長ほか職員の皆様、そしてその他ツ…

憲法を宙吊りにするのは誰か。シーラッハ『テロ』を読んで。

ドイツでイスラム系テロリストに飛行機がハイジャックされる。ハイジャック機は7万の観客で埋め尽くされたサッカースタジアムに向かっている。飛行機には164名の乗客が乗っており、そのそばを空対空撃墜能力を持った空軍機が飛行している。防衛大臣は最近の…

お金で買えないもの

他人によるものの多くはお金を払えば買うことができる。ただ、買えないものもある。何か。親切である。 人は誰しも一人で生きているわけではないから、他人がつくったものや他人の行為のおかげで生きていくことができる。食べるもの、住んでる家、歩いてる道…

冷静さについて。民主主義と絶望と熱狂。

イギリスのEU離脱を決めた国民投票が世界中で話題になる一方、日本の参院選は盛り上がりを欠いているように見える。「一国の民主的意思決定がここまでの世界的インパクトを与えることができる」と民主主義の可能性が一種の恐れとともに語られると同時に、「…

私たちの涙への態度。紫原明子さんの『家族無計画』を読んで。

知人の紫原明子さんのデビュー作『家族無計画』を読んだ。シングルワーキングマザーの明子さんが元夫、子ども、ママ友、男友達、キャバ嬢など、社会に生きる様々な他者と向き合いながら、これまでの人生を何とかかんとか暮らしてきた様子が爽やかな文章で生…

日本の不平等をどうするか

この国の未来にとって最も重要なことの一つだろうと思うことについて書く。 端的に言って、それは、同じ国に住んでいながらいろいろな要因が重なってひどい状況で暮らしている人の人数をできるだけ減らし、彼らが尊厳ある生活を取り戻すために何ができるだろ…

日本語ラップの最高さを改めて実感できる最近のMVを10本

最近いいなと思ったMVをただただ紹介していきます。とにかく全曲必聴ですよ。 ①LIBROのニューアルバムついに出たー! ②フリースタイルダンジョンでお茶の間にも衝撃を与えた崇勲。音源もいいぞー! ③ベテランの新曲も相変わらずかっこいいんだわあ。。 ④ド名…

「どんな人でも役に立てる」と「役に立たなくても生きていける」の違い

イギリスで主に障がい者向けの福祉予算が削られているというこの記事を読んで。 英国福祉改革センターのサイモン・ダフィー博士によると、世界金融危機後の2010年に保守党が政権を握って以降の6年間、障害者は健常者と比べて9倍、重度の障害を抱える人々に…